#29 企業の「通知表」の読み方を知っておく 『社会人1年目の働き方』
こんにちは、森本千賀子です。本日も『後悔しない社会人1年目の働き方』より、新社会人の心得から、必ず成果・成長に結びつく働き方、効力がある働き方、勝つためのルールなどをお伝えしてまいります!
■経営の知識は20代のうちに学んでおく
法人営業職など、企業を対象に営業活動を行うのであれば、「経営」に関する基礎知識は身につけておきたいものです。そのほかの職種であっても、将来的にマネジメントのポジションに就く可能性があるなら、やはり経営の知識は必要。そのときになって慌てるよりも、頭がやわらかくて吸収力が高い20代のうちに学んでおいてください。
手はじめに、「財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)」の見方を知っておくといいでしょう。これは、企業の業績や経営状態を表す「通知表」のようなものです。そして、通知表の数字の意味が読めるようになったら、「マーケティング」や「組織戦略」などのテーマにも注目してみてください。
バランスよく知識を身につけるならMBAのカリキュラムが有効ですが、MBA取得のための勉強はハードルが高いので、それより手軽な「中小企業診断士」資格の勉強をするのもおすすめです。私も20代のころ、中小企業診断士の資格取得を目指し、1年間ほどスクールに通いました。外国語学部出身の私にとって、財務・会計やマーケティング理論といったテーマはなじみがないもの。苦手意識もありましたが、やはり経営者を相手にビジネスをするからには、経営の概念や原理・原則というものを知っておくべきだと考えたのです。試験日がたまたまほかの大切な用事と重なってしまったため、資格取得はしませんでしたが、学んだことはとても役立ったと実感しています。まず、企業を見るときの「視点」が変わり、数字から経営状態をつかめるようになりました。
■その会社の弱点や課題などが見えます
それらの知識は、もちろん営業の場面でも生きてきます。訪問する前に、相手企業のIR情報に目を通しておけば、その会社の弱点や課題などが見えます。それを頭において先方と話をすると、相手が明確に言わないものの暗に意味するところなどが理解できるのです。それをふまえた提案をすると「おっ、わかってるな」と信頼を得ることができます。
私の仕事は、「受注して売上を挙げる」=「求人のオーダーをいただく」ということです。ある会社を訪問する際、相手企業のデータを見ていたところ、連結決算で売上が伸びているのに、利益率が下がっていることに気づいたことがありました。「どこか子会社の業績が悪いのかもしれない」と思った私は、先方との面談中、それとなく質問。すると、やはり子会社の問題が浮き上がってきて、その会社を立て直すための人材採用のオーダーをいただくという成果につながりました。
相手の課題を的確につかむためにも、ぜひ経営の基礎を身につけておくといいと思います。
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これから入社を控え社会人一年目として希望に燃えている、もしくはどんなふうに頑張っていけばいいか不安に思っている人、新人としてこの一年を過ごしたもののまだまだ力不足を感じている人。そんな若手ビジネスマンに向けて「後悔しない社会人1年目の働き方」についてお伝えしています。
また、社会人1年目の方だけでなく、若手ビジネスマンの育成、指導をされている 上司・先輩世代の方にもヒントになればと思っております。