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PIGGY(ピギー)最後まで観て、ようやく全てを察した映画

予告編、そして返り血塗れのヒロイン、リベンジホラーという公式のキャッチコピー、ヒロインはいじめられっ子という設定。

普通に考えると、いじめ被害者による加害者へのリベンジという、スリラー映画。
しかしアマプラ見放題に上がった時点で「リベンジ作品ではない」という情報も、見聞きしていた。

なので開始20分程で、ヒロインのサラをいじめていた少女達が不審者に拉致され、サラがそれを見逃すというシーンで、復讐が完了したのを見ても、別に驚きはしなかった。

因みにその不審者は去り際、いじめっ子達から着替えを奪われ水着姿で帰宅せざるを得なくなったサラに、羽織る物を置いて去っていく。
被害者は自分を虐げていた相手、一方で加害者は自分に親切にしてくれた。
人は困っている時に助けてくれた人を「良い人間だ」と感じてしまうようにできている、と聞いた事がある。

そういう訳だから、血塗れで自分に助けを求める被害者を、サラは見捨てて、警察にも何も言えないでいた。

しかしポスターには、血塗れのサラが映っており、この先にはバイオレンスアクションがある事は間違い無い。
一体どういう経緯を経て、あの姿になるのだろうか?

そう首を傾げ観ていたら、不審者がサラの後をつけるなどしている様子が映し出される。
どうやら彼は考えを変え、目撃者であるサラをも殺害する事にしたらしい。
なるほど、それであのポスターの姿になるわけね、と納得。

そんなある日、サラは森の中で不審者と再会してしまった!

縮まる2人の距離、流れるロマンティックな演出や音楽…

は?

え?何、この映画?どういう事?これ、何の映画なの?

宇宙を見る猫の様な心境になる私。

邪魔が入りその場では2人は別れるのだが、不審者はその後今度は、サラの住む家に現れる。
サラを車に乗せ、疾走する車。再び流れるロマンティックな演出や音楽。

スリラー映画だと思ってたけど、ロマンス映画だったのかな…?

この映画、あと30分足らずで終わるんだけど、一体どうやってサラを返り血塗れにするのだろう……

着いた先、秘密基地みたいな場所で、サラは監禁されているいじめっ子達と再会。生きてたんだ!

なんやかんやで、サラは不審者と殺し合いを始める。
この「なんやかんや」の部分も、最後まで観た後だと合点がいくのだけど、それまではどうしてこうなるのか、ちょっとよく分からなかった。

不審者を殺したサラは「いやーっ!死なないでー!」と死体に縋りつく。

お前が殺したんやww

「ハングマンズノット」で殺人鬼の柴田さんが、人質の野口君を助けに来たのに、よく分からない理由で彼を殺した後「死んじゃやだー!」って泣くシーンを思い出すなあw

やがて1人、静かに立ち上がったサラは、まるで別人の様に落ち着いており、銃を手に取ると……

ああ、なるほど…そういう事か。
最後まで観て、ようやくどういう事なのか察する事ができた。

「ファイトクラブ」とよく似た造りだったんだ。
しかし不審者は実在していて、けれどもサラにとっては、そしておそらく不審者にとっても、お互いがお互いにとって、自分自身であった、そういう話。

不審者を殺した後のサラが選んだ選択、そしてその後の彼女は別人の様に堂々としていて、けれども他者に素直に「助けて」と言える事から、傲慢になった訳ではない。
これはリベンジホラーではなく、1人の少女の成長物語だった。





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