漆黒の慕情(芦花公園)
※ネタばれありなので注意!
カルト宗教ホラー「異端の祝祭」続編。今回は都市伝説サイコホラーですね。
読みやすいし読ませる文章で、ミステリーも面白く、あっという間に読み終えてしまいました。
考えてみれば「異端の祝祭」の時もそうだったのですが、異常というか共依存カップルしかいない、というのが今回は非常に目立つ気がしました。
毎回事件を解決する佐々木事務所のバディのヤバい関係が、今回は明らかになったからかもしれません。
ヒロインであるるみが、実はかなりヤバい人だったというのは、前回から明かされていたわけですけど、今回は彼女の「母」なる人物とその関係が出てきます。
母との関係は良好なわけですが、母もいつかはいなくなるし、子離れしなきゃいけない…だから新たな母親を探さなきゃ。そうだ、幸喜君を母親にしよう!と言い切ってるんですね。
27歳の美青年を、自分の母親代わりにしようとする34歳女性。
かなり気持ちが悪いwww
そして幸喜君もまた、そんなるみに素直に応えようとしているんです。幸喜君も、かなりおかしい。
何で、彼はこんなおかしな思考回路になったんだろう…??それも、そのうち明かされるのでしょうか??
そして今回の依頼者、片山さんもまたるみと幸喜同様、変なカップルが成立する事で解決しました。
変というか、歪だけど…こういう関係しか築く事のできない、そういう人もいるのでしょうね。そんな事を思ったり。
このシリーズの、テーマの一つなのかもしれない。
片山さんが三好や川原ではなく、佐山としっくりきたのは、けっこう納得できます。
片山さん同様、佐山もまた片山を好きではないので、ある意味両想いと言える。佐山はママが喜んでくれるハイスペ男なら、何でも良いんだと思うんですよね。目的が、ママを喜ばせる事なので…
そしてそれが、片山には心地良いのだろう、と。
お互いがお互いをどうでも良いと思っているけれど、利害が一致している。
この作品には美形過ぎるあまりに、ストーカー等の被害に遭いまくって困る、麗人過ぎる男女という設定が出てくるのですが
ストーカー等のそういった加害に遭う理由として「美形だから」とするのは、何か古いなあと感じました。
というのも、実際そうした被害に遭い易い人の傾向として、「美形だから」というのは間違いであると、最近はけっこう知られているからなんですよね。
もちろん美形な人が被害に遭う事もあるわけですが、美形である事が理由ではない、という事です。
支配し易そう、とか抵抗しなさそう、とか…要は言い方悪いけど、舐められ易い人が被害に遭い易い、というのがフィクションでも近年の主流だよなあ、と。
ちょっと古い…いや、懐かしい設定だなと思いました。
因みにこれについては前作「異端の祝祭」でも、美形だから身内から執着されストーカーされるという設定でしたね。
その辺りやっぱ、単純というか浅いというか、もしくは古い設定だなあと。
あと、「中身が大事」とはよく言ったもので、中身って意外と外見とリンクしてるんですよね。
雰囲気として表れる…とでも言うのでしょうか、肉体の造形が悪くとも、美形であるというのは往々にしてあり得る事だったりします。
逆に、造形が優れていても美形ではない、という事も普通にあったりする。
芸能人とか、そうでなくとも周囲の美男美女を観察すれば、なんとなく分かると思うのですが…
この作者さんは、その辺り…美醜に関しても造形のみに特化しており、かなり単純であるように感じました。
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