作った人の顔が見えそうなビーズブレスレット
2017年、私はガーナにいた。
それは学問のためだったけれど、勉強より何より私を魅了したのは、人々のカラフルで気合の入ったファッション。ガーナを始めとする西アフリカでは、最近日本でも人気になっているパーニュと呼ばれる伝統柄の布で普段着をオーダーメイドするのが普通なのだ。「普段着」と言っても、女性は派手な柄のドレス、男性も派手な柄のスーツ。日本ではまず見ることのできない色彩の暴力。最高。
私は初めての「アフリカ」に圧倒されながらも、日本のメディアで見る飢えや紛争に苦しむ人々の姿はどこにも見当たらず、あらためて「アフリカ」と一括りにすることの愚かさと、「アフリカ」という言葉に染みつくステレオタイプの根深さを実感したのであった。
首都アクラは都会で、お店もたくさんある。私は学校の友人と共に食料を買うついでにお土産品でも物色しようと、大きなスーパーに来ていた。そのスーパーに入ろうと入口に向かうと、スーパーの前には運動会のテントのようなものが設置されたスペースがある。どれどれ、と友人と覗いてみると、目に飛び込んできたのは色とりどりのビーズたち。キャンディーのようにカラフルでつやつやした、たくさんのビーズブレスレットが売られていたのだ。値段はどれも日本円でひとつ約100円。
子どもの頃ビーズの手作りキットに夢中になったことを思い出しながら、夢中で選ぶ。サイズもビーズの組み合わせもそれぞれ違って、ひとつひとつが唯一無二。その中から私は厳選して自分の好みのものをいくつか選びだした。
選んでいる最中は、「お土産に誰かにあげてもいいかも」などと思っていたのだが、一生懸命選んだからかすでに愛着が湧いてしまい、結局全て自分が使うことにした。
しかし実は、買ってからしばらくこれらのブレスレットは引き出しに眠っていた。当時ジュエリーの類は、ゴールドとかシルバーとか金属の類はつけていたけれど、ビーズはどのようにつければいいのか分からなかったのだ。
それが30代になり、「これ意外といいのでは?」と最近掘り出して頻繁に使っている。涼し気で遊び心があって、夏にはぴったりなのだ。年齢を重ねたことで、おもちゃっぽいアイテムも他のものとうまく組み合わせて、子どもっぽくなり過ぎずに使えるようになったのだと思う。
それにしても、これらのブレスレット、ひとつひとつのビーズを見ていくととても面白い。ちょっとヴィンテージビーズっぽいものもあれば、子ども用玩具のちゃちなものまで、本当に色々。
そしてもっと面白いのはその組み合わせ。「この色の隣にこの色!?」、「これ絶対ハンバーガーのイメージでしょ~!」と眺めては、これを作った人につっこんでいる。4年越しのツッコミは届かないだろうけど、あなたがセレクトして作ってくれたこのブレスレット、日々遠い日本人の夏を彩ってくれてますよ、そう声を大にして伝えたい。
・愛用歴:1年(買ってからは4年)