150回は着たし、これからも着ていくワンピース
今年はアニバーサリーイヤーである。
何のアニバーサリーかというと、とあるワンピースを着始めて、ちょうど10年になるのだ。
22歳の時に購入し、今年晴れて32歳。ひと夏に平均して15回は着ているから、15回 x 10年=150回!おめでたい!
出会いはフランス、その中でもほぼドイツと言っていい都市ストラスブール。世界遺産に登録もされているその美しい街に、私は留学していた。
初めてのヨーロッパ生活。フランス語の勉強もそこそこに、私はあるものに夢中になっていた。それが古着屋さんや蚤の市といった、「古いもの」を売るお店。
その中でもお気に入りの、一軒の古着屋さんがあった。世界遺産地区にあるンそのお店には、メイド・イン・フランスの個性的で素敵なお洋服が、超お手頃なお値段で、所狭しと並んでいた。
3日と空けずに通い、「平安時代なら結婚できちゃうよこれ」とか思いながら、来る日も来る日も物色していた。ここで購入したものは今でも使っているものが多いからまた登場するけれど、その中でも特別なのが今回のワンピース。
時は超円高時代。円安の今では考えられないが、1ユーロ100円計算だった。ドルに至っては80円台。
円高じゃなかったとしても、このワンピースは確か、破格の2着で15ユーロ。つまり当時1枚約750円くらいだったのだ。安すぎる。
私が選んだ2着は、色々な柄がストライプになっているカラフルなワンピースと、ナウシカが着ているみたいなコットンの白いワンピース。今回の主役は前者のストライプのワンピース。いつの時代のものかは分からないけれど、70年代くらいかしら、と予想。
ストライプのワンピースはひざ丈だった。当時は少女時代とAKB48全盛期、私もミニスカとハイヒールが通常装備。そんな私にとって「ひざ丈か~、まあ気に入らなかったら切っちゃえばいっか」と思いつつ買ったもの。それまでひざ丈ワンピなんて嫌煙していたけれど、すぐに「あれ、意外といいじゃん」と考えを改めた。
そしてこれは年を重ねるにつれて、いい選択だったと実感している。年齢そのまま20代前半だったとしても、ここ10年のトレンドはミモレだの、ひざが隠れるような丈だったし。
フランスから帰国して、時は流れて私は社会人となり、26歳から学問と仕事の関係で、海外を点々とする生活となった。
海外を点々とする生活というのは、生活のすべてをキャリーケースひとつにまとめなくてはいけない生活、ということだ。服なんて真っ先に削らなくてはいけないので、ワードローブはかなり厳選される。
このワンピは、私の「旅するワードローブ」のスタメンなのだ。スタメンになれるお洋服の条件は以下の通り。
まず「軽い」。何はなくともまずはこれ。26キロ以内くらいに生活のすべてを収める必要があるのだから当然。次に「すぐ乾く」。ホテルの洗面台で手洗いして部屋干し、なんてことが往々にしてあるので、乾きやすさは重要だ。そして「シワになりにくい」。キャリーケースにぎゅうぎゅうに詰められても涼しい顔して「何てことありませんわ」、みたいな生地が求められるのだ。最後に、意外と大事なのが「ぱっと見てすぐかわいい」。普通、たくさん服を持っていけない場合、着回しのきくベーシックアイテムが優先される。しかし、こういう時、ぱっと分かりやすくかわいい、個性的でカラフルな柄の洋服が、精神衛生上絶対にひとつは必要なのだ。人はパンのみにて生くるものに非ず。
そして、これらの厳格な審査基準をやすやすとクリアする服、それこそがこのワンピースなのだ!
旅行にも必ずと言っていいほどこのワンピを持っていくため、22歳から32歳までの旅行写真には、大体このワンピースを着た私が写っている。長崎の眼鏡橋でも、北海道の積丹岬でも、イギリスの大英博物館前でも、このワンピースで写っている。「それってどうなの」と思いつつ、時と場所を横断するワンピなんていいじゃないか、と思い直す。
今も私の目の前には、洗濯後干されているこの子がいる。今年の夏もお世話になります。お婆ちゃんになっても着るからな!あーかわいい!!
・愛用歴:10年