たい焼きの味
今年最後の子ども食堂が終わった。
クリスマス特別企画でお菓子を配ると、SNSで事前に告知したから、終わってみれば大盛況だった。
…しかしである。
中のスタッフは何時にも増しててんてこ舞い。
予定より提供のされた食材が多く、急きょ2品増えたり、ご飯が思うように炊けず慌てたり、子どもたちの笑顔の水面下でかなりスタッフはバタバタしていた。
そんな中、アレルギー対応の件で来場者から質問があり、フロアスタッフでは対応できずに、調理スタッフにお鉢が回ってきた。ただでさえ、ジカンとの勝負をしているのに、「アレルギー対応はできません」と通達しているのに。もちろん、私の家族にもアレルギー持ちがいるので、気持ちは分からなくないが、人手も足りずにピーク時にひとり割かれるのは痛い。そして、対応していないというのに対応しなくてはいけないこのジレンマ。そんなわけで対応したあと、調理に戻り、スタッフからも対応について同意を得られず、ひとり悶々としていたた。
どう対応したかって…
たまごを使用しているかどうかの質問に、たまごは今日は扱ってないが、必ず入っていないとは言い切れないので、何とも言えないと、濁した言い方をした。ここで使っていないと断言してしまうと、アレルギーが出たら言った言わないの大騒ぎになってしまうからである。中のスタッフには、使っていませんが責任は取れませんでいいでないかと言われたが、やはり断言は怖い…
頭を冷やそうと、スタッフ間でいつも行うミーティングを抜けて、自宅に帰り、お昼の支度をして、終わった頃に戻ってきた。すると、片付けに入るスタッフから差し入れのたい焼きが入ったオリを手渡される。
…これ誰からですか?
いつもワタシたちの活動を応援してくださる、地域住民のおじさんからだった。
朝、顔を出し、寄付の商品券を手渡したかと思いきや、その足で隣町まで行って、来場者やスタッフの分のたい焼きを買ってくれたらしい。毎回寄付金やお弁当代を多めに入れてくださるので、朝商品券をもらった時点で、いつももらい過ぎなので「今年はもうお金を入れちゃいけないよ」と、釘を差したのだが、きっと、忙しく働くスタッフを見ていて、なんとかしたいという気持ちが抑えきれなくなったのだと思う。さらに片付けを率先してやってくれて、重い長机をひとり抱えて運んでいた。
こういう人がいるから、スタッフは続けることができるし、続けなければと重責にもなる。ワタシはまだ怖い。善意フルパワーで活動している友だちがよかれと思ってやったことが、仇になり傷つくことが。。
スタッフがアレルギーのある子にも食べれるものがあれば食べてほしいという思いもわかる。彼女たちの善意をおじさんも応援したくなる気持ちもわかる。
再びジレンマと戦いながら、この気持ち誰にぶつけようかと、見渡すとかわいいお魚二匹がワタシを見ている。疲れも八つ当たりも、2匹のお魚にぶつけパクリといってやった。疲れに効く甘さがたまらなかった。