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【読書記録】マクベス/シェイクスピア

本のこと

ええい、星も光を消せ!この胸底の黒ずんだ野望を照らしてくれるな――。
「権力」という毒に溺れた男を描く、シェイクスピア4大悲劇の白眉!

かねてから、心の底では王位を望んでいたスコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と激しく意志的な夫人の教唆により野心を実行に移していく。王ダンカンを自分の城で暗殺し王位を奪ったマクベスは、その王位を失うことへの不安から次々と血に染まった手で罪を重ねていく……。
シェイクスピア四大悲劇中でも最も密度の高い凝集力をもつ作品である。

目次
マクベス(Macbeth)
解題福田恆存
解説中村保男

本文より
マクベス夫人 ひそかにこの世の宝とお思いになり、それがほしくてたまらぬ方が、われから御自分を臆病者と思いなし、魚は食いたい、脚は濡らしたくないの猫そっくり、「やってのけるぞ」の口の下から「やっぱり、だめだ」の腰くだけ、そうして一生をだらだらとお過しになるおつもり。
マクベス お願いだ、黙っていてくれ、男にふさわしいことなら、何でもやってのけよう、それも度がすぎれば、もう男ではない、人間ではない。
マクベス夫人 それなら、このたくらみをお打明けになったときは、どんな獣に唆されたとおっしゃいます?大胆に打明けられた方こそ、真の男、それ以上のことをやってのければ、ますます男らしゅうおなりのはず。……
(第一幕第七場)

ウィリアム・シェイクスピア Shakespeare, William(1564-1616)
ストラトフォード・オン・エイヴォンに生る。20歳頃出郷、初めロンドンで役者、後に座付作者として活躍。『ロミオとジュリエット』をはじめ約37編の史劇・悲劇・喜劇を創作。詩作にも秀で、エリザベス朝ルネサンス文学の巨星となる。47歳で突如隠退、余生を故郷で送った。

福田恆存(1912-1994)
東京本郷に生まれる。東京大学英文科を卒業。中学教師、編集者などを経て、日本語教育振興会に勤める傍らロレンスの『アポカリプス』の翻訳や芥川龍之介論などの文芸評論を手がける。戦後は、評論『近代の宿命』『小説の運命』『藝術とはなにか』『人間・この劇的なるもの』『私の幸福論』『平和の理念』等を刊行。また、国語問題に関して歴史的仮名遣い擁護の立場で論じた『私の國語教室』がある。訳業に『シェイクスピア全集』(読売文学賞受賞)の他、ワイルド、ロレンス、エリオット、ヘミングウェイ作品等がある。劇作家、演出家として劇団「昴」を主宰し、演劇活動も行なう。全集に『福田恆存全集』『福田恆存翻訳全集』がある。

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感想

忠実な武将だったマクベスが、魔女の言葉に唆されて王を殺して王位を奪うも、最後には全てを失って殺されてしまう。

一言で言えばそんな物語。

魔女の話を聞いた時にマクベスは「そんなバカなことがあるか」と言いながらも、満更でもない感じでした。元々心の中にそんな野心があって、「じゃあその予言に乗っかるか」みたいな感覚もあったのではないかなと思います。

野心は必要かもしれないけれど、人としての仁義は捨ててはいけません。

それを持たないなら、人ではなく獣や悪魔と変わらないのかもしれないな、と思います。

約400年前の物語を今でも数百円で読むことができるというのは、やはり本は素晴らしいなと感じて読みました。



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