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【読書記録】こどもを野に放て!/養老孟司・中村桂子・池澤夏樹・春山慶彦
本のこと
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こどもを野に放て!
本の概要
学びにも、ビジネスにも、今必要なのは、身体性に裏打ちされた、たしかな「自然観」!
都市化が急速に進み、子どものリアルな自然経験の少なさによる弊害が指摘されている。人は実際に体験し、そこから得られる知覚を通して抽象的な概念を学び、ゆっくりと知性を育むにもかかわらず、それがないがしろにされている。
本書は、現在急成長中のベンチャー企業・YAMAPの創業者で読書家としても知られる春山慶彦が、養老孟司、中村桂子、池澤夏樹の各氏と、自然体験を通してAI時代に活きる知性の育み方を語り合う。
「現代社会は、感覚から入るものを軽視しがちで、勉強すれば何でも頭に入ると思っています。でも実は、それ以前に身体で感じることが非常に重要なのです」――養老孟司
「合理的に効率よくやろうとしていたら、生きものはとうの昔に消えていたと思います。それから、一つの価値基準で競争させて、いいものだけを残そうとしていたら、やはり消えていたでしょう。矛盾を組み込んで、『何でもあり』でやってきたからこそ、生きものは続いてきた」――中村桂子
「何かうまくいったとき、『俺の腕がいいからだ』と思うのではなく、それはある意味、運であって、運である以上は何かに感謝しなきゃいけない。その何かは必ずしも神様でないかもしれないけれど、たぶんそういう謙虚な姿勢そのものに意味があるのでしょう」――池澤夏樹
「知覚とは、自分を取り巻く世界をどう感じるか。知覚、つまり感覚、感性、五感で世界を捉えること、既存の思考と統合しながら解釈すること。そこに知性の核心がある」――春山慶彦
感想
自然を体験することが難しくなっているなと感じます。
私は山が好きで、よく山へ行きます。
6歳の息子にも体験してもらいたいなと思いますが、お金も時間もかかり、なかなか気軽にはできません。
そんな中、日頃使っているアプリ「YAMAP」の創業者である春山慶彦さんの考え方に、以前から強く共感していまして、この本が発売されるとしり、すぐに購入しました。
現代はとても便利になりましたが、それと同時に生まれた問題は山積みで、最近ではSDGsやESG経営だと必死に取り組みを始めました。
利便性は高まった一方で、自然との関わりを失い、節度を忘れて資源を使いまくった結果、後戻りができなくなってしまっています。
人と自然との距離は、どんどん広がっています。
自分が生きる場所の風景、風土を大切にする。
それを意識して生きていきたいと思います。
私は星野道夫さんの写真や本が大好きで度々読んでいます。
この本でも紹介されている「遠くの自然、近くの自然」という星野道夫さんの言葉があります。
自分が都会で忙しく暮らしているこの瞬間にも、アラスカではクジラが海面からジャンプしているかもしれない、そうして自然を感じることで、少し気持ちが落ち着きます。
私は山が好きでよく行きますが、春山さんがこの本で仰っている「いのちが外に開かれる」「地続きでいる感覚」というのが、何となく理解できま
す。
自然に触れて、自分に見えている景色ではない自然を想うことで、少し人生が豊かになる感じがします。
そして、今の仕事においても、この本で書かれている「景色を美しくしているか」を忘れずにいたいと思いました。