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モーさんの薄口エンタメ評論会

ぐるナイおもしろ荘2025を見て

M-1グランプリより好きなんです。最近のM-1は正統派のしゃべくり漫才が影を潜め、とにかく大声で叫べばOkみたいな芸風が主流で、私は興味がいま一つ持てないんです。敗者復活戦で優勝したサンドイッチマンの雄姿が、いまだに脳裏から離れません。

今年のおもしろ荘は全体的にクオリティが高かったという印象です。特に衝撃を受けたのはマッスルオペラちゃんです。芸歴はたったの7か月ということでしたが、その芸は既に完成されていました。名前からしてオペラアリアでも歌うのだろうとは思いましたが、にしてはトレーニングウェアを着ておりましたので、体力芸なのか?
のっけから心はワクワク。基本的にはフリップ芸でしたが、その後まさかの展開に…。

女性だからソプラノかアルトかと思えば、まさかのテノール?ヴェルディの「女心の歌」。日本人が誰でも知っているオペラアリアと言えば、この曲ということなんでしょう。私もカラオケで「天城越え」を歌いますので、とくに裏声に驚きませんが、彼女はプロの歌手なのか堂に入ったものでした。筋肉芸とオペラアリアの組み合わせ。その斬新さの前に、嫁さんと大爆笑。二人ともしばらく笑いが止まらず、苦しくてたまりませんでした。ヴェルディもあの世でつくづくリゴレットを創って良かったと、胸をなで下ろしているでしょう。

クラシック音楽ファンの一人として、名曲をエンタメ化してもらえるのは有難いですし、こういう形で一般の視聴者とクラシック音楽が、今でも触れ合えることに安堵しています。
「こうじゃないとダメだ」というクラシック音楽ファンも多いですし、演者もそういう人は大勢います。そういう堅さが日本のクラシック音楽界の現状を生んでいる、なんていうと怒られますね。

楽しくないと音楽じゃない!

改めて彼女の芸に教えてもらいました。

今年のおもしろ荘に出ているユニットの芸は、どれも過去に例のない斬新なコンセプトが多く、芸歴に関係ない質の高さに驚きました。彼らがもしネタをAIに作らせていないのだとしたら、まだまだ人間の創造力はイケるなあと思います。人の可能性を諦めるにはまだ早いですよ。

                              おしまい


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