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怪物
怪物
TOKYOMERの時に予告で安藤サクラさんの作品だと気になり、最終的には監督監督是枝裕裕和×脚本坂元裕二×音楽坂本龍一とこれでもかと最強タッグのオンパレードだった
カンヌ国際映画祭でも賞を受賞は納得でした
観終わった後の立ち上がれない程の圧倒された作品、やっと立ち上がったらスタンディングオベーションしそうになってしまった
そしてまた全てを知った上でもう一度違う感情で観たい
程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします
![](https://assets.st-note.com/img/1685880327216-n3CcsIPnwC.jpg?width=1200)
はじめに
湊の母親早織(安藤サクラ)、湊の教師保利(永山瑛太)、湊(黒川想矢)の3人から見える世界
同じ出来事なのに全く別の様でメビウスの輪の様な表と裏がどちらも裏で表だった
早織
旦那さんが死んで湊と2人シングルマザーで平和に過ごしていた
はずだった
湊の靴が片方しかなかったり、泥だらけで水筒に泥が入っていたり、耳にケガしていたり、学校も休むようになった
話を聞くと、保利先生に殴られてケガをしたと言うから、事実確認で学校に行くも校長(田中裕子)も教頭(角田晃広)も要領を得ない
答えになっていないのに謝るだけ
保利を呼び出しても謝るが、反省は一切なく途中で飴を舐めだす始末
イライラが募ってくる中、保利から湊が同級生依里(柊木陽太)をイジメていると言われ、被害者だと思っていたら加害者だったとの衝撃を受ける
安藤サクラ
この人の演技は凄い
安藤サクラだけでも観に行く価値はある
この方のどこかやさぐれた悲壮感がとてつもなく秀逸で、前回の万引き家族からパワーアップしてた
保利
湊が暴れているところを抑える時に腕が当たってケガをさせたが、依里が何となくイジメられているではないかと感じ取っていて、その傍にはいつも湊がいた
早織からの時にはこの先生大丈夫?だったけれど、めっちゃ生徒思いの優しい先生だった
ただ校長、教頭から一方的に早織のクレームを鵜呑みにして、モンスターペアレント扱いで臭い物に蓋をしろ精神で、保利の発言を一切無視して謝らせる
保利は納得していないし、態度もぞんざいになる
プロポーズをしていた恋人の広奈(高畑充希)とも湊への暴力事件で謝罪したが週刊誌に写真を撮られたことにより、終わりを告げる
永山瑛太
最初の早織の章の時の保利はヘラヘラしているヤベェ先生だと思っていたけれど、実は一生懸命生徒の事を考え苦悩していた
ただ周りからはどこかぎこちない笑顔で気味悪がられたりしていた
真逆の2面性を巧みに演じ分けるのがさすがだった
田中裕子
ずーっと淡々と感情があるのか?
目が死んで表情すら無の状態
それでいて時々垣間見える悪意
この人の無の演技はとてつもなく忍び寄る恐怖
いつも優しい役柄が多かった印象だったので、一番印象に残った役者さんでわたし的MVP
角田晃広
東京03でのコントでもあるある!いるいる!だけれど保身一直線の事なかれ主義の教頭も違和感ない存在だった
高畑充希
保利の事を励ましつつもどこか適当な感じでフワフワしていた
最後の「また連絡するね」も男の「大丈夫」と女の「またいつか」は信用するなをそのまま体現していた
中村獅童
そこまでの登場シーンはないけれど、狂気しかなかった
わが子を信用していない、嫁に逃げられてアルコール依存症なのか逃げられる前からなのか、虐待もしているしいいとこ一切なし
庭に水やりシーンだけでも、水やりのやり方だけでも狂気
湊
依里はイジメられていた
でもそれは湊ではなかった
湊は依里に恋心を抱いていたのかは定かではないけれど、2人にしか分からない通じるものはあって、戸惑いながらも葛藤していた
イジメに対して湊は庇っていたが、庇うことによって茶化されたり煽られたりしていた
隣の女の子は湊が守らないことに対してもどかしかったのかな
黒川想矢
チョッと思春期のクールな感じだけれど、心の中にある葛藤を抱えつつ親にも言えず、複雑な心境の声音が凄かった
柊木陽太
どこか飄々としているけれど、一生懸命に苦境を隠している健気さが泣けてくる
観終わった後
最後の叫び「あーーーーー!!!!!」がリンクした
ここに全てが詰まっていた
パンドラの箱だった
最後の希望があった
坂元裕二脚本で全てに伏線があり、点と点が線で繋がっているようで、別の並行する線になっていたり、是枝裕和監督の役者の最大限の魅力を引き出させて、全てがその人でないと成り立たない世界観
叫びで暗転からの、坂本龍一教授の音楽が儚くもどこか力強いピアノにずっと放心状態のわたしの心にすっと入って来た
そこからエンドロールでもずっと立てない、やっと立ち上がったらスタンディングオベーションしそうになってしまった
三者三様でそれぞれの見ている知っている部分、誰も悪くない
誰も間違っていない
なのにどこか悪くて間違っている
そんな気持ちが「あーーーーー!!!!!」に全部込められてた