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一瞬でいい
程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします
何度読んでも泣いてしまう切なくも大好きな作品
第一章
英次→稀世←創介←未来子
軽井沢の英次と稀世と東京の創介、未来子が夏休み特有の期間限定の友だちがそれぞれの進路で今までの夏が終わる
その終わりの記念に浅間山に登る
秋に登山が雪がちらつく冬の初めになり、それでも登山したかった未来子
無理はしないと言いつつも、先に進もうとして無茶してケガをした創介
助けを呼びに行く英次
登山前に創介から「東京に来い」と言われ心揺らぐ稀世
英次が死んだ
ケガをしたから助けを呼びに行ったからと自責の念に駆られる創介
自分が無理に登山しなければと後悔する未来子
英次にも告白されるが気持ちは東京で「早く」と急かしてしまった稀世
もう元には戻れない関係
それでも稀世は創介に想いを告げて結ばれる
第二章
それぞれが20代になり別々の世界で生きている
創介は英次を引きづったまま親からも現実からも離れていく
稀世は英次の死があり看護師になり、先生に好意を持たれたからこそ同僚の悪意により看護師を辞める
先生からプロポーズを受けて幸せになれるのかと思ったら、片親が理由で向こうの母親から身を引くように言われる
稀世と未来子が再会した時に創介の弟から居場所を教えてもらい二人は悩みながらも会いに行くが創介のことを好きな由美が結婚すると言って追い返してしまう
高校時代の友だちから弟経由で稀世、未来子が自分の場所を訪ねたことに驚愕するも稀世を忘れられずに電話するも親から結婚することを言われる
第三章
スナックのママとしてやっていく稀世と偶然出逢うも立ち退きでの攻防で変わってしまった創介
ずっと大好きだった未来子は堕落していた創介を救いたかった
やっと叶った想い
第四章
創介が病に侵された
残された時間は僅か
稀世は未来子に遠慮した
未来子は創介の想いを汲んだ
稀世と創介は英次のいた浅間山に登った
未来子から創介が亡くなったことを知った稀世
感想
理由なき自信で何でも出来ると想える10代の淡い恋心から終活の50代までゆっくりとそれでも怒涛に過ぎていく
それが自分の行動、発言のせいだと責任を感じ幸せになるのを拒みながら、生きていく
それでも時間が過ぎていくと少しずつ幸せも受け入れつつもそう簡単には幸せにはなれない
ずっと稀世も創介も想いは消えていないのにすれ違う
出逢いそうで出逢わない
出逢ってもそれぞれにパートナーがいる
もどかしい
稀世
芯が強く逞しいけれど、どこか儚いからこそ手を差し伸べたくなる
相手を想うからこそ、自分の幸せを後回しにしちゃう不器用なんだよ
生きるのが下手な人と思われるけれどそれも納得しているんだろうな
創介
ずるい人だよ
なんで稀世のことを想っているのに、未来子と結婚するの?
最期には稀世と浅間山に登る
でも最後の最期は未来子に見守られて逝くのはずるいよ
どっちも欲張りだよ
未来子
ワガママでお嬢さまな部分もあるけれど、最後は創介の想いを叶えようとしていた
めっちゃしんどかったと想うけれど、最後強い女になった
不慮の事故がキッカケで人生が大きく変わってしまった3人の10代~50代の波乱の人生
ずっともどかしい想いを抱えつつも、頁を読み進めてしまう
そして読み終えた後の報われた感に涙が止まらない