どんぐりすだれ
先週書いたものだけどアップしておこう。
秋の休日、爽やかな朝。
「今日は何しようか~また山にいこうか~!」
「そうだ!玄関にすだれが欲しいんだ。どんぐりですだれ、作ってみない?公園でどんぐりたくさん拾ってさ」
「いいね!いいよね。そうしよう。お弁当持ってみんなで自転車で行こう!」
上記の会話はすべて、私の独り言だ。
しかし独り言も大きな声で発すると周囲のひとがキャッチしてくれる、こともある。
とりわけミニマリストを目指し(挫折し)57平米の1LDKに5人で共存している我が家において、大きな独り言は高確率でキャッチされるはず、なのだが不思議なことに反応が無いこともしばしばだ。
今回は反応があった。
絵描き「いいね!どの公園にする?」
妖精「どんぐり拾い?やった~!」
先生「ブルーギリ釣りに行きたい!」
長男「ZZZ・・・」
3対1で私の圧勝だ。
前回、多数決に疑問を呈した投稿をしたが、これが多数決の弊害のひとつだと思う。
先生の「ブルーギリ釣りたい!」はなかったことにされた。
釣りの日以外は早く起きられない長男(35才)は、カウントさえされない。
だから多数決の弊害はあれど、選挙は行ったほうがいい・・
逸れてしまったけど、先生は年中「釣りに行きたい!」といっているので、多数決関係なしにスルーさせてもらった。
ということで、どんくり拾ってきた!
秋の公園はどんぐりだらけ。
絵描きと妖精がほとんど拾ってくれた。
彼女らがどんぐりを拾っている間、長男と私は公園の隅でテニスをし、先生はバッタを捕まえたり他のお父さんに絡んだりした。
それぞれ思い思いに過ごし、帰宅。
どんぐりドドーン!と3.6キログラム!
ひとつ約3グラムだったので、おおよそ1200個!
良くこれだけ集めたな~~~~
全然拾ってないのに達成感を感じさせてくれるどんぐり量だ。
今日の作業はここまでかな~~~
朝の意気込みがすでに消えかけていた私をよそに、絵描きと妖精はせっせとどんぐりを洗ってくれた。
ゴム手袋とデカいたらいを引っ張り出して作業をこなす彼女らは立派な職人に見えた。
乾かすため新聞紙の上にどんぐりを広げる。
そして絵描き、「ねえ!どんぐりに穴あけてよ!」
夕飯の準備に取り掛かっていたわたしは「へ?いまからですか?」と心の中で弱気につぶやく。
「はやく穴あけて紐通そうよ!」すでに針に紐を通してスタンバイしている絵描き。
「はやく、あな!!」もたもたしている私に妖精は半ギレだ。
言われるがままに私は電動ドリルでどんぐりに穴をあける。
指に穴があきそうになる。
つるっつるの小さなどんぐりに電動ドリルで穴をあける作業は、大変危険だった。
すだれ作りにこんな危険が潜んでいるなんて母さん思いもよらなかったわ・・・浅はかな立案者の顛末である。
しかし立案者のプライドにかけてどんぐりに穴を開けなければならない。
皆であれこれ考えた末、絵描きが油粘土を提供してくれた。
粘土にどんぐりを刺しこんで固定してから穴をあける戦略だ。
見事作戦は成功。創意工夫って楽しい。
私はどんぐり穴あけ職人と化し、絵描き、妖精、先生(!)はどんぐり紐通し職人と化す。
絵描きは手先が器用なので、楽しそう。どんどんどんぐりを通して丈の長いすだれが出来ていく。すごく嬉しそうなので、ちょっとそれは長すぎる・・・なんて言えない。
妖精はなかなか上手く通せないことにブチ切れながらも、諦めない。半べそになりながらも、やり遂げる。しかも、いつの間にかビーズも混ぜてちょっとキラキラしたすだれが出来ている。
そして3才の先生は怖いくらい静かになり、集中し、どんぐりを一つずつ、丁寧な手つきで紐を通していく。針が顔に当たらなければ大事故にはならないので、大人は静かに見守った。
まさか先生が針を使ってどんぐりに紐を通せるなんて思ってもみなかった。しかもすごい集中力で一本のすだれを作り上げた。泣ける。
子どもは大人が考えるよりずっと多くのことを出来るし、やりたい!挑戦したい!!と思っているんだろうな。
失敗はつきものだけど出来る限り見守っていきたい。
楽しそう!これやりたい!やってみたい!
に思う存分挑戦してもらいたい。そういう積み重ねが人生の進む方向を示してくれる。気がする。
でも、そう考えたとき、今の絵描きの学校生活はどうなんだろう。
なんて感傷にふけるうちにすっかり日も暮れて、お腹も空いて、子どもらの機嫌も雲行き怪しくなってきた。
先生も集中の糸がプッツンと切れて姉さんたちの作品を投げ物にしている。
家の中がいつも通りのサファリパーク状態となったところで、長男が夕飯を出してくれた。
すたれ作りは翌週に持ち越し。
拾ってきたどんぐりからどんぐり虫が出てきていたりもするが(キャー!)
気にしない。
このどんぐりすだれを完成させて、玄関にかけて「ねぇ、やってる?」ってやってやるんだ。
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