商品企画書と漫画入門
漫画を描いたことがあるかと聞かれて首肯する人は決して多くないことでしょう。
描いたことがある、描いているという人はその手順を思い返してください。
ないという人は想像してみてください。
漫画を描くプロセスとはどんなものでしょうか。
デジタル技術が進歩したとはいえ、あらすじであるプロットを作り、コマ割りを決めるネームを描き、下書きし、ペン入れし、仕上げをする。
そんな手順は変わらないことでしょう。
丸ペン、Gペン、カブラペン論争や、消しゴムかけなどがデジタル化してなくなっていくことを考えると少し物悲しくなります。
閑話休題
これらの漫画を描くプロセスは商品企画書と同じ流れになっています。
提案のあらすじを考え、資料の流れと割り振りを決め、必要な情報を並べて、体裁を整えていく。
人によってはキメ小間から入ったり、下書きをしなかったりするかもしれませんが、それはちょっと特殊で、ある種の才能を持った人のイレギュラーな事例です。
プロットがないままネームに入れば話の辻褄が合わせにくくなりますし、ネームなしに下書きを始めるとページの割り振りに影響してしまいます。
下書きなしのペン入れも危険ですし、ペン入れせずに仕上げはできません。
そんな漫画ならわかりやすい流れなのですが、商品企画書は変な動きが多々見られます。
グラフの形と色を微調整したり、体裁を整えるのに終始して全体が見えていなかったり、写真やアニメーションを多用した渾身の力作なのに支離滅裂であったりします。
ストーリーもないのにキレイな絵が並ぶのは漫画ではなくイラスト集です。
イラストにはイラストの価値がありますが、商品企画においてはストーリーがなければただの情報の断片にすぎません。
商品企画ができれば漫画が描けるなどとは口が裂けても言えませんが、漫画が描ければ商品企画ができるというのは決して誤ってはいないのです。