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アンゾフの細分化

事業成長を考える時に使うフレームワークの一つにアンゾフの成長マトリックスがあります。
商品と市場•顧客を既存と新規の二軸に分けた図で、どのセグメントに手を加えて成長するかを考えるものです。
既存商品を既存市場に売って成長しようとするなら浸透させることが必要です。
購入者や購入回数を増やすことでシェアを高めていきます。
既存商品を新規市場に売るなら販路開拓が、逆に既存市場に新規商品を売るなら商品開発が必要になります。
どちらも新規領域の開拓による成長です。
一番難しいのが新規市場に向けた新規商品の投入による事業の多角化です。
完全に新しい領域に飛び込むため、ハイリスク•ハイリターンな選択になります。
基本的にはこの4象限のどこに着手するかが成長の為の選択肢になります。

フレームワークはおしなべてMECEであります。
しかしだからと言って盲信してもいけません。
新規と既存の境目には、車の新車と中古車の間に新古車と呼ばれる未使用品市場のように曖昧な存在の余地があるのです。
自社にとっての新規商品と既存商品を分けるには商品の定義をどう捉えるかが関わってきます。
定義を細かく設定すれば既存の範囲の精度は高まりますが数が減ります。
逆に粒度粗く定義すれば新規の領域が大きく広がります。
まんじゅう屋で考えた時、和菓子という定義の中ではまんじゅうは既存、羊羹は新規かもしれませんが、菓子という定義の中では和菓子という枠組みで既存の領域に未参入の羊羹ごと収まります。
菓子という定義の中での羊羹は定義上は既存にいますが、まんじゅう屋の取り組みとしては新規になります。
そうすると既存と新規の間には親和性のある新規と親和性のない新規が登場します。
どのセグメントを攻めるべきかを考えるのが目的であって、アンゾフの成長マトリックスに当てはめるのが目的ではありませんから、軸を三つに切ってやればいいのです。
すると選択肢が4つから6つに増えます。
自社の既存領域と新規領域をどのような定義で分けるかによって細分化できますので、より既存領域に近くてリスクの低い新規領域から攻めることも、大きく外した新規領域に飛び込むこともでき、選択肢や考え方が広がっていきます。

フレームワークは穴埋めするものではなく、便利な枠組みとして参考にするものです。
人名までついたフレームワークだからといって臆することなくバラしてみれば、また新しい考え方が生まれてくることでしょう。

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