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そのシェアは確率によるもの


弊社の製品はコストパフォーマンスが魅力として長く愛されてきました。
弊社の製品はユーザビリティが高い為、多くのリピート購入をいただいています。
おかげさまで弊社は業界でも3位のシェアを保持し続けています。
そんなフォロワー企業の皆さん、こんにちは。
最近新興企業によってシェアをジワジワ奪われていませんか?
所詮どこの馬の骨とも知れぬ輩よ、と大物ぶって古典的なセリフを発しているうちに危うさを感じ始めていませんか?
それまで顧客価値と信じていたものは確率の産物かも知れません。

見せかけのロイヤルティという言葉があります。
ずっと最安値を出し続けてシェアを取っていた企業がシェア=ロイヤルティと勘違いしてしまうような状況です。
他に安い商品がないから選ぶような、消極的な選択によって選ばれ続けていた状況です。
ロイヤルティが高いと誤解した結果、値上げをして即座にシェアを失ったり、高級ラインを生み出して見向きもされなかったりしてしまいます。
確率によるロイヤルティも似たようなものです。

安いから買う、チラシの商品だから買うという購入時の判断が一定数を占めています。
一方、一番安いものではなく感覚的な中央値の製品を選んで安心感を得たいという人も多くいます。
一番安い製品より少し高いけど聞いたことがあるメーカーを選ぶ心理です。
最安値の商品が数多く並ぶことはありません。一商品しかなくてこその最安値でありチラシ効果なのですから。
一方で商品をラインナップする場合、最安値から階段状に価格と魅力が上がっていきます。
もう少し支払えばもう少し良い商品になると期待させることで客単価を上げていく為です。
ただしあまり綺麗に階段になりすぎると判断基準が不明瞭になる為、ある程度の価格帯ごとに踊り場を設けます。
踊り場は売り上げ規模が大きくなる価格帯であり、競合商品が並んだり、少し多めのラインナップになっていたりします。
なんとなく目を惹きつけやすい構造になっているのです。

なんとなくこのくらいの予算感、という価格帯にそこそこも見栄えの商品がある程度のバリエーションで並んでいると目立ちます。
目立つと選ばれる確率が高まります。
目立つので下の価格からの買い上がりを促し、上の価格よりお買い得に感じることで、より選ばれやすくなります。
ただそれが積極的に選ばれたものなのか、確率的に選ばれた消極的なものなのかを見誤ってはいけません。

コストパフォーマンスとユーザビリティは購買決定要因とは言い難いものです。アンケート結果で評価されていると勘違いしないようにしなければなりません。
安いから買ったけど失敗ではなかった、使い勝手に不満はない、そんな感想の言い換えに過ぎません。
もし具体的に良い点が挙がっているのであればそれは商品の真の魅力として誇るべきことですが、上記の2点は安くて不満の起きない最低限の条件が揃っていれば置き換えが可能なのだと捉えるべきです。

選ばれるべき理由が明確ではないけどシェアがある時、耳障りの良いコストパフォーマンスやユーザビリティと言った言葉に甘えてはいけません。
それは他社より選ばれる確率が高いだけなのかも知れないのですから。

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