それらしく見せること
合気道で強くなれますか?
そう聞かれた時の答えは「人による」です。
短期間で喧嘩に強くなりやすいのは空手やボクシングなどの打撃系と言われていますが、それでも弱い人はいますし、何を強さとするかにもよります。
定められたルールの中では強くても、道場外、リング外で強さを発揮すれば罪に問われます。
日常の中で最も安全に危害を最小化するというのが強さであれば、合気道で強くなることができます。
合気道は強いか弱いか。
その話をする時に必ず出てくるのが試合です。
合気道に試合はありません。
稽古も演武もすべて型で行われます。
試合をしないから強くなれないという意見も正しい一方で、勝敗に拘泥していては術理を学ぶことが疎かになるのも確かです。
柔道とJUDOの違いを嘆く声が出てくるのは当然のことです。
合気道は型だから弱い、試合は実戦に近いから強い、実はそんな単純なものではありません。
技術が上達していくと、上級者同士はより攻撃的に変化していくことがあります。
型ではあっても間合いを読み、呼吸を読みますし、甘い動きをしていれば反撃を許す場合もあります。
型は型ですが、そこにどれだけの本気を込めるか、どれだけ本物らしさを詰めるかはそれぞれの心技体によって変わるのです。
それらしく見せることは重要です。
外側だけ取り繕っても見透かされるのですから、中身も含めて正しさの軸がなければなりません。
それは商品企画も同様です。
過去の製品の復刻やらマイナーチェンジに過ぎないものでも、他社に対して競争力で劣るものでも、戦えるものに見せることが商品企画です。
それらしく見せるのは外観の印象ではありません。
本質にどれだけ迫るかが、らしさの模倣なのです。