商品戦略、下から見るか横から見るか
夏の夜空に大輪の花を咲かせる花火。
綺麗な円を描く姿を見て気になるのは、花火は平たいのか丸いのか。
横から見れば円だけど、下から見たら平たく見えるのではないか。
そんな疑問と甘酸っぱい青春を重ね合わせた物語があります。
花火は火薬による爆発なので、特別な仕掛けをしたもの以外は球体に広がります。
下から見ても横から見ても丸いことには変わりありません。
では商品戦略は?
戦略を考える時、積み上げて下から提案するボトムアップと、大方針を持って始めるトップダウンがあります。
積み上げという言葉が示すように、トップからの流れが裾野まで広がっていくように、戦略は山のような形をしています。
頂上の経営戦略、山道ごとの事業戦略、そして裾野の商品戦略です。
裾野から見上げて地道に積み上げていく商品戦略と、山全体を横から眺める商品戦略では生み出されるものが大きく違います。
個別に見ても全体を見ても山は山なのだから同じこと、そう考えると戦略立案で遭難します。
花火のようにどこから見ても遠くにあるものであれば同じ姿が見えるかもしれませんが、山は違います。
裾野にいれば木や枝ばかりが見えますが、横から見れば高さや起伏、傾斜が見えます。
山道や頂上との繋がりを意識できるのは裾野から登っていく時ではなく、山を眺めた時なのです。
商品戦略と聞くと企画者は商品のことを考えます。得意だからです。
商品戦略という時、経営者は戦略を要求します。事業に影響を与えるのは個々の商品ではなく大きな戦略だからです。
この時、企画者は裾野から積み上げを意識しますが、経営者は山全体の形を意識します。
時に食い違いが生じるのはこの山の捉え方なのです。
木を見て森を見ずと言いますが、山を見て森を意識して木の話をしなければいつまでも企画担当者と経営者の視点はズレたままになってしまいます。
商品企画者が担当するのは一つの商品、一本の木かもしれません。
ですがその木がどのもり、どの山のものなのかを意識しなければ本当の意義を考えることはできません。
花火も商品戦略も横から全体を見るようにしましょう。
なお、時には戦略と言いながら個々の製品のスペックばかり気にする経営者もいるかもしれません。
それはそれ、郷に入りては郷に従えと言うように相手に合わせた対応が必要になることは心に留めておきましょう。