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ロミオとジュリエット、What is a youth?

前回に続けて音楽……作詞の記事です。
早速さっそく聴いてみましょう。

1968年の映画「ロミオとジュリエット」のなかで歌われている“What is a youth?”という歌です。ロミオをLeonard Whiting、ジュリエットをOlivia Husseyが演じています。歌っているのはグレン・ウェストン(Glen Weston)という方だそうです。

1968年というと、わたしが高校生の時でした。テレビの教育番組で英語の先生がこの歌を紹介していたのをかすかに覚えています。しかし、それよりも今思うと、1961年に公開された「ウェスト・サイド・ストーリー」という映画が「ロミオとジュリエット」の現代版なんですね。当時、映画の看板が通りに張り出されていて、ジョージ・チャキリスらが踊っている姿が印象的でした。しかし、当時はまだ小学生でお金もないし、観に行くことはありませんでした。観たのは大学に入ってからです。
それと、ギリシャ神話を読んでいた時、「ロミオとジュリエット」にそっくりな話に出会いました。「ピュラモスとティスベ」という話ですが、昔からこんなテーマがあったのに驚きました。

日本語訳詞

紹介は以上にして、今日の本題に移ります。
前回 Lurihaさんに、メロディーに沿った歌詞(文語体で!)を作ってもらいたいとリクエスト(?)されたのですが、そんなもの簡単にできるか!と笑っていました。とは言え、もし和訳するとしたら、さてどの歌がいいかと考えたところ、古風な感じの歌かなと思って、これが浮かびました。もとの歌詞(英語)はこれです。

What is a youth?
Impetuous fire.
What is a maid?
Ice and desire.
The world wags on.

A rose will bloom
It then will fade
So does a youth.
So does the fairest maid.

Comes a time when one sweet smile
Has its season for a while
Then love’s in love with me.

Some may think only to marry,
Others will tease and tarry,
Mine is the very best parry.
Cupid he rules us all.

Caper the caper; sing me the song,
Death will come soon to hush us along.
Sweeter than honey and bitter as gall.
Love is a pastime that never will pall.
Sweeter than honey and bitter as gall.
Cupid he rules us all.

A rose will bloom, it then will fade
So does a youth.
So does the fairest maid.

genius.com/Nino-rota-what-is-a-youth-lyrics

(「ロミオとジュリエット」にはもう一つの歌“A time for us”があります。メロディーもよく似ていますね。こちらは恋人たちが主体となって恋の歓びを謳歌しており、意味もわかりやすいし、多くの歌手もよく歌っています。他方“What is a youth?”の方は、第三者の立場、恋人を横目で見た歌詞です。)

ということで、歌詞も決まったし、気分が乗っているうちに少しずつ文語調に訳して行きました。まだ明治の文士のように流れる文体になっていません😓。そんな実力はあるはずもないので、今回も習作として発表します。

(露の世の恋)
春の日
乙女をとめは夢を
若者身をがす
燃え立つその火ぞ はかなき
無常むじやうなら

つゆいのち
甘きみもて
こひつくさん

かぢを絶えし船
行方ゆくへも知らず
思ひはつのりて
恋のとりこ

歌へ今踊れや
死の影は忍び
恋は甘く切なし
たぎつ思ひくなし
恋は甘く切なし
たれのがれん

花咲き枯れゆく つゆ
無常の世の習ひ


翻訳覚書

歌詞の日本語(現代語)訳はいくつかあるようですが、メロディーに合った日本語の歌詞は、もしかして、発表されているものでこれが最初かもしれません😯。

歌詞の意味ですが、Webを検索すると日本語の解説もあります。しかし、わたしの感覚と異なるところもあるので、翻訳というより、私的解釈(歌詞のイメージ)を以下に記して置きます。

若き日の燃える胸、青年の思いはたぎる
女の子は、冷たく甘い刺激アイスキャンディーを欲しがる生き物
そんな女の子に男の子はついて行く、そして互いにふざけ合う
しかし、花は咲きやがて枯れて行くもの、
青年も乙女も同じ、これが無常の世の習い

短い命であるけれど、
甘き笑みに誘われる恋の歓び

結ばれることを願う恋も、
戯れの後に名残惜しむ恋も、
困難を乗り越え駆け抜ける恋も
どれもこれも恋の子鬼キューピッドの仕業

歌えよ踊れよ、死の影が忍び寄ってくるぞ
ときに甘くときに苦く、
恋に酔いしれる飽くなき戯れ
ときに甘くときに苦く、
それも恋の小鬼キューピッドの仕掛けるいたずら
花は咲きやがて枯れてゆく、
これが無常の世の習い

● A youth は不定冠詞がついているので具体的なもの。ある解説サイトでは「若者」という解釈を取っているが、「若い期間」という意味にも取れる。ここでは、「若い期間(日々)」という意味も隠れていると考える。
● What is a maid? Ice and desire. 簡潔な表現で、意味もいくつか考えられる。「冷たい心(冷静さ)と欲望」だろうか。ここでは、「(軽い)刺激を欲しがる者」と解釈した。
しかし、火と氷という対比も面白い。氷を口に含みつつ誘う女性をイメージするのもありか。
● The world wags on. ここもわかりにくいけれども、wagは犬が尻尾を振るときに使われる言葉(犬だけに特化した言葉があるんですね)。男女の仲の表現と捉える。従ってThe worldは男女が睦み合う世界、簡単に言うと恋の世界。あとに出てくるcupidはこのThe worldを支配(rules)する。
● その他細かい点がありますが、煩雑になるので省略。
● 「梶を絶えし船…」〜この節は訳が難しかったので日本の和歌から引用した。しかし「恋のとりこ」に原詞の味(cupid rules us)を残した(つもり)。
● 詞と音符対応について…
譜面は、著作権法の問題があるかも知れないので、ここに載せない。
基本的に、1音符が日本語の1音節になっている。
ただし2,3個所、要注意。

気になっていることとか…
前回も他人の詞を元に作りましたが、著作権についてはどうなのでしょうか。盗作と言われる可能性は…?あるいは、原作者に許可をとる必要があるのでしょうか。自分で調べればいいのでしょうが、面倒なので……今はよく理解していません。

あとは実際に歌えるものかどうか……。もし歌ってみようと思う物好きな方がいらっしゃいましたら、歓迎です🙂。しかし、現在ではこんな古風な歌詞に関心を持つ人は少ないでしょう。中世ヨーロッパ音楽が好きな方か、古楽器を演奏されているグループとか…でしょうか(?)

わずか20行ほどの詞に、3,000文字余りを費やして記事にしました😓。
お読みいただき、ありがとうございました。誰か歌って…😅


[2023-5-10] 訳詞第1節を少し手直しした。
[2023-5-11] 訳詞第1、第2節を手直し。その他本文少し修正。
[2023-5-28] 歌詞改定版公開 こちら


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