にゃんこ隊長は迷探偵 アイドルを探せ!
「トラ兄!
大変なんだ!寝てる場合じゃない!
早く一緒に来て!」
俺様が公園で昼寝をしているとクロが呼びに来た。
ちなみに猫語で話しているので、人間には猫が鳴いているようにしか聞こえない。
「なんだよ!
さっき寝たとこなのに…」
「それが…詳しくは、なごみ庵についてからだ!」
公園でのんびり昼寝しようとしていた俺様は、ご機嫌ななめだ。
しかし、クロがこんなに慌てているからには何か大変な事があったのだろう。
クロと一緒に全力疾走して、なごみ庵へ。
なごみ庵には、我らがアイドル猫リリィたんが住んでいるのだが…
なごみ庵で何があったんだ?
◇◇◇◇◇◇
なごみ庵に到着すると、音楽教室の先生のとこのムジカと花屋のローズが待っていた。
んっ?
いつもなら、中心にいるはずのリリィがいない。
リリィとローズはアイドルユニットを組んでいてムジカがマネージャーをしているんだ。
ここら辺りの猫達に大人気なんだぜ?
「トラ兄!
リリィがいなくなったんだ!」
「朝呼びに来たらリリィがいないの!」
「リリィさんを最後に見たのは昨夜の集会の時なんです。
あの後、送って行けばよかった…」
クロ、ローズ、ムジカの言葉に状況を把握しながら俺様はヤツらを落ち着かせようと言葉を探してみたが…
「トラ兄…
俺、リリィさんを探しに行くよ」
「私も!」
「僕も!」
みんなジッとしていられないようだ。
仕方ないなぁ…
とりあえず仕事を与えておくか。
「ムジカは、公園のノラたちから聞き込み!
ローズはリリィのママからリリィが夜帰って来ていたか聞いて!
クロは、俺と一緒に来てくれ」
「「「はいっ!」」」
俺様はクロとリリィの匂いを辿ってリリィの居場所を探る事にした。
「トラ兄…
リリィは誘拐されたのかな?
それとも家出したの?」
「どうだろうなぁ。
リリィは、たまに遊びに行く家があったのかもしれないと思っているんだが…
事情があって、その場所から帰って来られなくなったとか…
リリィみたいな美猫なら別宅がある可能性が高いだろ?」
「確かに…
リリィは首輪をしていないから、自分が飼っていると勘違いして閉じ込めるヤツが出てきてもおかしくないですね」
「おっ…ここら辺りからリリィの匂いがしないか?
このマンションあやしいな。
ここは、ペット不可の物件だよな。
リリィを拐って監禁しているかもしれないな」
「どうします?
一部屋ずつ確認するんですか?」
「馬鹿だな。
お前ちょっとリリィを呼んでみろ。
リリィの聴覚ならお前の声が聴こえるはずだ」
クロは思いっきり大きな声でリリィを呼んだ。
すると、反応があった。
三階の角部屋にいると、リリィが答えたのだ。
ケージに入れられて出られないらしい。
部屋の主がいるから人化して逃げる事も出来なかったようだ。
「リリィ、必ず俺たちが助けるから安心して、そこでゆっくりしていてくれ」と叫ぶと待っていると返事が返ってきた。
さて…
後は、どうやってリリィを助けるかだよな。
俺とクロが人化して助けに行くのは最終手段にしておきたいからなぁ…
誰かを巻き込まないと…
誰にしようかねぇ。