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桜庵へようこそ 黒の森からの便り
拝啓 ラビ様
初めてお便りします。
先日来店した際には、大変お世話になりました。
ラビさんのオススメの和菓子は、森の仲間たちに大好評でした。
中でも、ひよこの形で中にカスタードあんが入ったお菓子と花びら餅が人気で危うく戦闘になりかけました。
私はお使いを頼まれた特権で1番先に選ぶ事が出来たので食べられましたが、食べられなかった皆様からの視線が痛かったです。
黒の王から、竹やぶに引きこもらないでたまには城下町へ遊びに行きなさいと言われたので、また桜庵に行くつもりです。
ラビさんがオススメの場所があれば教えて頂けたら幸いです。
店主のデイヴ様にも、宜しくお伝えください。
黒の森の竹やぶに住むパンより
◇◇◇◇◇◇
「デイヴ様!
先日、黒の王のお使いでいらしたパン様からお手紙が来まして…
デイヴ様に宜しくと仰っております。
うちの和菓子を黒の森の皆様も、気に入って頂けたようで…
ひよこと花びら餅が人気で皆様のお口に入らなかったようです」
「手紙を送ってくるとは…
ラビは、黒の森にもファンクラブが出来るのではないか?
ひよこと花びら餅がそんなに人気だったのか!
明日、黒の王のところに届ける菓子の中にオマケでひよこと花びら餅も入れておくとしよう」
「デイヴ様…
いいですね!
きっと皆様喜ばれますよ」
開店後の忙しい時間が過ぎて、のんびりしていたふたりは先日来店したパンダ獣人の女性の事を思い出していた。
「デイヴ様、お手紙の中でパンダ獣人のパン様から城下町でオススメな場所を教えて欲しいと言われたのですが…
私…女性の好む場所があまりわからなくて…」
「ラビ!
奇遇だね!
私も女性に人気があるような場所はわからないよ…
常連のマダム達か、ギルドの受付の女の子に聞いてみたらどうだい?
その前に、パンさんに手紙の返事を書いてパンさんの好みを聞いたらどうかな?
買い物がしたいのか、グルメを楽しみたいのか、レジャーを楽しみたいのか、好みですすめる場所も違うだろうし…」
「そうだ!
お返事を書かないと…
城下町に遊びに来たら何をしたいのかを聞いてみます。
デイヴ様、アドバイスありがとうございます」
「店内は落ち着いているから、今書いたらどうだい?
私は明日のオマケのお菓子用のカスタードあんと白味噌あんを仕込むとしよう」
満面の笑みを浮かべながら、作業に戻る店主デイヴの後ろ姿を見送りながら、普段無口な店主が珍しく饒舌だった事に驚きながらも…
きっと和菓子が黒の森のみんなに喜ばれて嬉しかったからだろうなと納得したラビである。
本日の桜庵のオススメは、季節のあんみつ苺とうぐいす餅となっております。
残りわずかですので、お早めのご来店お待ちしております。