- 運営しているクリエイター
#青春
急にね、あなたはいう。
君といた時間は、いつも煙草の煙が辺りに立ち上っていた気がするし、君といた時間から現在にかけてが、中村一義が出す曲を時系列でなぞるみたいに過ぎていく。
大学ってところは、入学したあと直ぐに仲良くなる友達とは、割と早い段階で、挨拶を交わして通り過ぎる程度の距離に落ち着く。
それでも地方からこっちに出てきて、はじめての一人暮らしをする彼ら彼女たちの家では、夏の試験期間まではお泊まり会があるし、マル
少年たちの夏が終わる、初稿
公団住宅の一部屋から父親がまず出て行く。
ドアが閉まる音。
続けて母親がドアを開ける。
見送りに出る哲也。
「あんたも東京に行くんだから、きちんとしなさいよ」
うん、小さく頷く哲也。
母親がドアを閉める、音。
母親の足音に耳をそばだてる哲也。
小さくなっていく足音。
車が止まる音。
車のドアの開閉と発車する音。
音を出さないように気をつけながら、家の鍵を閉める哲也。
家の電話で話している哲也。