「悲しみはどこまで」
雨が降る来る
悲しみを越えられるか
側溝を流れる雨だつた水
我が悲しみを連れ去るか
燈火の明りが痛いくらゐに
目をさす涙か雨伝ふ
そよ吹く風かと思ふ
通り過ぎたるタクシーは
けふも人を、悲しみを連れ
往く道程に値を張らむ
夜半に月なく尽きない悲しみ
せめて星だけひとつ見えぬか
空は烟つて厚い蓋され
よつぽど燈火を際立たせ
手に乗る雨をも光らせる
天の川かと見紛ふ綺麗さ
玄関の戸を閉じさへすれば
ひとり雨さへ忘れる無音
冷たい風も忘れ温かく
けふもなんとなく
いい日だつたと思ひたい
温かい布団で眠りたい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?