夏の終わり
肌を焦がすような、あの痛いくらいの日差しも、まるで永遠に続くかのように感じられたねっとりと濃い闇夜も、そのすべてに纏わりついていたあのドキドキやワクワクも、全部、ぜんぶ過ぎ去ってしまう。
あっという間に駆け抜けていく。
気づくともうおしまいの時がきてしまっている。
暑さに意識は朦朧とし、正常な判断もままならない。でもそれは言い訳にすぎなくて、本当はすこし道がそれたことを楽しんでいた。
でもそれももうおしまい。
永遠には居続けられないことを、みんな知っている。少しずつ日が暮れるのが早くなり、日に日に空気にも空にも透明感が増していく。窓を開け放してテレビを見ていると、どこからか鈴虫の音が聞こえてくる。過ぎていく夏を想って、少しばかり感傷に浸ってみる。
毎年くりかえされる光景。
38回もくりかえされたそれは、でも何度だって切ないのだ。きっとこれからも、ずっと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?