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午後15時の紅茶

基本のステップなんて、アン・ドゥ・トロワ
先生のカウントが無くても簡単に踏めてしまう。
口ずさむメヌエットも踊るように指が勝手に鍵盤を舞うのに任せてしまえばいいの。

日が傾くリビングでティーカップを見つめて
ただいま、と帰ってくるのを待つ静寂
この時間は、時計の長針の足取りも重い
もしかしたら、このままずっと針は4をさしたまま進むのをやめてしまうのかも。
そんな期待を裏切って、冷めて湯気を出さなくなったティーカップの影がさっきよりも少し長くなった。

いつからだろう。感じることを止めたまま、指先が、足先が動くまま毎日の歯車を基本のステップで回すようになった。
スカートを翻すときめきなんてとっくの昔に色褪せてしまった。

時計が少しだけカチと音を立てた。
今日の気分はポロネーズ
褪せたオレンジ色のスポットライトを浴びながら心地よいステップで躍り出る。

今夜あなたを待つのは、テーブルの上の一枚の紙切れと、冷めきったティーカップの紅茶。

どうか、笑って許してくださいね。
わたしが今まであなたにそうしてきたように。
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