234【情報漬けの便利と情報ナシの不便】
何十年前に読んだと思うこんなことを思い出す夜更け。
「情報漬けの便利」と「情報ナシの不便」の話。
「情報ナシの不便」の方が、人は幸せではないか。
今の日本のどうにもならない閉塞感は
「情報漬けの便利」のせいだと思うという話。
昔は、会社員になれば人生は安泰で、好きな女と結婚すればバラ色、老後の人生なんて若いうちは考えもしなかった。ただぼんやりと想像するだけの未来像だったから、好き勝手に想像できた。情報なんてほとんどなかったし。就職したらずっと同じ会社、結婚したら一生同じ相手。いったん決定したらその後の変更は出来ないという不自由さに固まっていた。
今は、情報のおかげで、会社勤めは実はこんな苦労があるとか、結婚や子育てにもこんなに苦労があるんだとか、老後についても具体的な体の衰えや辛さもみんな知っている。弱い人間ほど始める前からめげてしまい無気力になる。
子どものうちから自分の未来に絶望して不登校になり
働く前から働くことに絶望してニートになり
結婚する前から結婚に絶望し
産みもせずに子育てを放棄し
若いうちから老化に怯え
女子高生が、もうオバサンになったと叫ぶ
知らないから平気で就職して結婚して子供を作った
そして初めてそれらの大変な世界に出くわした
出くわしたからってもう入ってしまってるから
逃げるわけにはいかない
ひとつひとつと真正面からブチ当たって
越えていくしかなかった
無知による大苦労だけど、そうやって一歩一歩
苦労をして乗り越えてこそ、人間は成熟していく
今は若いうちから知り過ぎて、弱い奴から脱落し
それなりに打たれ強い人々まで
不便だった時代と違って、便利になりすぎて
逆に不幸になっている
せっかくいい仕事いい相手とくっついても
もっといい世界があるのじゃないかと
便利すぎて、逆に常に心が安定しない
不便だったからこそ安定していた昔と違って
今は便利になりすぎて不安定になってしまっている
これからもさらに情報と薄っぺらな便利さに
振り回されていくばかりで
この国の人間たちはもっと荒むばかりだろうな、と。
こんな夜更けに目が覚めて、仕事が無かった頃、
考えていたことを思い出す。
そうして、私はこの仕事に飛び込んだった。
大切なのは「旅人」になる覚悟を持つこと
ある場所に行って、すぐに分かり合えることを
期待するのは無理な話で、その場所で、書くことを
通して言葉と戯れる喜びを表現しなければいけない。
感情の動きがわかるように、絵を描くように言葉を紡ぐ。
見えるように、匂いがわかるように、聞こえるように
感じられるように、表現する。
信念をもって型破りなことを言い出す人は
型の中で楽をしていた人たちにとっては脅威なのだ
ステージが上がると、今まで怒りに感じて来たことが
怒りに感じなくなる。見えなかった地平が見えて来た
そういうことなんだ。
いまこの国を立て直すのに必要なもの、それは創造性でも、知識の量でも、お金でも、カリスマでも、忍耐力でもない。ましてやAIなどであるはずがない。必要なもの、それは、『対話』だよ。みんながもう一度、謙虚に話し合うことだ。他人の意見を忍耐強く聞くこと。そして、受け入れ、認めること。自由とは、そういうこと。
金持ちは資金を、お金がない人は労力を提供するなど、市民の一致協力によって、明治維新後、大発展をした函館。官民が一体となって、自主的に造られた街は、函館の他にはないと私は思っている。
先人たちの築き上げてきたスピリッツ。特にどこに注目するか、それが重要。でも、行き着く先は同じ。変わりたいなら学ぶこと、そして前進あるのみ。