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ドーサ【2】 崩壊するヘルシー概念と重い軽食
インド食器屋「アジアハンター」の店主・小林真樹さんが、食器買い付けの旅や国内の専門店巡りで出会った美味しい料理、お店、そしてインドの食文化をご紹介します。
前項のとおり、タミル人は米をパッチャ・アルシー(生米)とプルンガル・アルシー(パーボイルド米)とに区分けし、食べ方もそれぞれ変えている。それは単に好みというより、もっと深く宗教的な概念と結びついているように感じる。
大衆食堂のミールスとしてワシワシと食べられるのはプルンガル米の方である。一方、日本米と同様(パーボイルド加工しない)パッチャ米をワシワシ食べるのは「消化によくない」のだとタミル人はいう。確かにパーボイルド米はもみの中で米粒がぬかによってコーティングされるのでパッチャ米より栄養価が高いとされ、消化吸収がゆっくりであるため血糖値の上昇も穏やか。さらに腹持ちもよく、農作業などの肉体労働に最適だとされている。そのイメージが増幅され、中には「免疫力を高める」といった説をとなえるタミル人もいる。
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2024年12月13日(金)発売
『深遠なるインド料理の世界』小林真樹/著