チャパティ【2】 家庭料理と外食料理
「インドの家庭ではナンは食べません。チャパティを食べるんです」
インド料理に関心のある方ならば、そんなインド人の言葉を耳にしたことがあるだろう。
実際、広いインド亜大陸を旅すると、ナンよりチャパティに接する機会の方が圧倒的に多い。とりわけ家庭内においては、以前説明したように焼くのにタンドールという特殊な装置が必要なナンは家庭では一般的ではなく、簡素なかまどと鉄板さえあれば焼けるチャパティやローティーが主流となっている。生まれて初めてナンを食べた地が、仕事で訪れた日本だった、などというインド人すら少なからずいるほどだ。
北インドの農村を訪ねると、いまだに手回しの石臼(チャッキー)を現役で使っているところがある。チャパティにしろプーリーなどほかの料理にするにしろ、基本的に昔ながらの家庭では小麦は皮付きのまま備蓄し、その都度、あるいは少なくとも一週間に一~二度は石臼で挽いて製粉している。
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2024年12月13日(金)発売
『深遠なるインド料理の世界』小林真樹/著