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ファルーダ【3】 ファルーダ食べ歩き旅
インド食器屋「アジアハンター」の店主・小林真樹さんが、食器買い付けの旅や国内の専門店巡りで出会った美味しい料理、お店、そしてインドの食文化をご紹介します。
前回はインドに伝来したファルーダが、三つの経路を経てそれぞれ特異な進化を遂げている状況とその特徴を紹介した。今回はインド亜大陸において、どこの店でどんなファルーダが食べられるのかを紹介したい。いわば三分類したファルーダの食べ歩き実践編である。
まずは第一のファルーダ。パキスタン北部からインド北部の都市部にかけて見られる、最もクラッシックなタイプである。訪れたいのは、古都ラクナウにあるPrakash Ki Mashoor Kulfi(プラカーシュ・キ・マシュール・クルフィー)。1956年創業の老舗である。店のメインはクルフィーと呼ばれる、ミルクを加工したインド古来の冷菓がメインだが、西洋のアイスクリームがウエハースを添えて出されるのと同様に、クルフィーにはファルーダが添えられる。店に入ってオーダーすると冷凍庫からクルフィーを皿にのせ、その上から傍らのバケツにモリモリと入ったファルーダを「むんず」と掴むやバラバラと散らすようにしてかけてくれる。ファルーダ自体には味がないので、甘いクルフィーの「箸休め」的な存在なのだろう。ちなみにこの店のファルーダは、無着色の白色とフードカラーで黄色く色づけされた二種類が混合されて出てくる。
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2024年12月13日(金)発売
『深遠なるインド料理の世界』小林真樹/著