自由と幸福と自家製どぶろく
すっかり冬らしくなった。寒仕込みの季節が到来した。
昨年仕込んだ寒こうじの蓋を開ける。例年よりも褐色になっていて驚いた。取っていたメモを確認して、頂き物の古い米麹を使っていたことを思い出す。味に問題はない。
今年は自家製米麹で仕込む。美味しくなりますように!
さらに寒くなった12月上旬にどぶろく用の米麹を醸す。甘み成分が増すように、最後の6時間は高温を保つようゆっくり見守る。
元日のお屠蘇代わりとして少し飲みたくて、仕込みの初日(初添え)を7日にした。蒸し米、米麹、水。そして、冷蔵庫で保存していた昨年のどぶろく約2合分を加える。これが酒母となる。冬眠中だった酒母が活性化するかは仕込み終わるまでわからない。静かに2日間待つ。
3日目(仲添え)
1回目よりも多い蒸し米、米麹、水を加える。ゆっくりと発酵が始まった。酒母が生きていたことにほっとする。
4日目(留添え)
2回目よりもさらに多い蒸し米、米麹、水を加えて仕込み終了となる。
後は1日1回混ぜるだけ。元旦での試飲が楽しみだ。
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『どぶろく』という言葉を知ったのは小学生の頃だった。
そして、年号が昭和から平成に変わってからどぶろく裁判の判決が下りた。
個人の自由や幸福よりも、国税の1%にあたる酒税の確保を優先する国。
政治には無関心だったのに、あの判決は歪んで見えた。
古き良き食文化を守るために、カナダで日本の酒を醸す。
この国の法律に反することなく。
★おまけの話
酒類の課税数量は平成11年度の1,017万㎘、課税額は平成6年度の2.12兆円をそれぞれピークに減少している。(国税庁調べ)
令和4年の今でも自己消費目的の酒類製造の自由が制約されているにも関わらず、課税額は年々右肩下がり。たびたびのビール、発泡酒、焼酎に対する酒税改定と消費減が連動するのは当然の結果だろう。
どぶろく裁判の判決から33年。裁判要旨と現実にズレが生じている。
自宅でのどぶろく造りを解禁すると、酒税での回収が1%を割るかもしれない。それでも、その分をカバーできるくらい消費税での回収が可能になるだろう。米農家でない限り原材料を購入しなければならないのだから、米の消費増にも繋がるだろう。また、杜氏にアルコール依存者はいないという。解禁による健康被害も考えにくい。
ユネスコ無形文化遺産に和食が登録されている。
庶民が醸すどぶろくも伝統だった。
消滅する前に救いたい。
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