「歴史総合」の年間計画(大枠)

2022年度から高校で始まる「歴史総合」。
その教科書の見本本が、ほぼ私の勤務校に届いた。

それぞれの教科書の細かいコメントは省くが、全体として大きな問題が二つあると思う。

一つ目は、従来の日本史と世界史のパッチワークのようなものが多く、「テーマ」ごとに「融合」しているとは言い難いことだろう。「テーマ」ごとに「融合」させるのが難しいのは十分承知しているけれど、やはり使用する側からすれば、斬新でおもしろい!とはならない気がする。

そしてもう一つの問題は、分量が多くて、従来の授業のやり方ではとても週2時間(2単位)では終えられないことだ。

今回は、このことについて少し書いてみようと思う。

学習指導要領では、地理歴史科の目標として、
・調査や諸資料からの情報を調べまとめる技能
・事象の意味や意義、特色や関連を考察
・社会に見られる課題の解決に向けて構想
・考察、構想したことを効果的に説明、議論
・課題を主体的に解決
といった能力や姿勢をつけることを掲げている。

結論から言うと、この分量では無理....。

だとすれば、従来の授業方法を学習指導要領にあるように「改善」して、進めていくことが不可欠となる。

そこで、大枠の年間計画を考えてみた。

大項目は次の四つ。
A 歴史の扉
B 近代化と私たち
C 国際秩序の変化や大衆化と私たち
D グローバル化と私たち

学習指導要領にある内容の取扱いでは、Dのなかの「現代的な諸課題の形成と展望」の学習が充実するように年間指導計画を作成するようにとある。

これ、無理だろう(笑)....。

これを言葉通りに捉えれば、なぜ、各教科書会社はこんなにも他のBやCにたくさんの記述を割いたのか?という疑問が湧いてくる。

といっても、いずれかの教科書を採択して「歴史総合」の授業をしなければいけないから、それぞれの大項目に時間を割り振って、その中でもっとも効果的な学習を目指すことになるだろう。

で、私の勤務校は、毎年4回定期考査があり、それぞれ、実質15, 13, 15, 17時間くらいだから、年間60時間で考えてみた。

A 歴史の扉 3時間
(1)歴史と私たち
(2)歴史の特質と資料
  ※授業開きを含める

B 近代化と私たち 19時間
(1)近代化への問い 2時間
(2)結びつく世界と日本の開国 7時間
(3)国民国家と明治維新 7時間
(4)近代化と現代的な諸課題 3時間

C 国際秩序の変化や大衆化と私たち 19時間
(1)国際秩序の変化や大衆化への問い 2時間
(2)第一次世界大戦と大衆社会 7時間
(3)経済危機と第二次世界大戦 7時間
(4)国際秩序の変化や大衆化と現代的な諸課題 3時間

D グローバル化と私たち 19時間
(1)グローバル化への問い 2時間
(2)冷戦と世界経済 6時間
(3)世界秩序の変容と日本 6時間
(4)現代的な諸課題の形成と展望 5時間

数字上の割り振りはこんな感じ。
問題は、授業デザインをどうするかだ。

教科書にある項目に1時間はかけられないから、
いくつかピックアップするか、
こちらでテーマを設定し直す。

そして知識を教員が教えるのではなく、
生徒たち自身が調べながら
知識を獲得してそれを整理し、
こちらが投げかけた問いに答える形。

さあ、わくわくしてきた。
不可能を可能にするデザインを、
これからじっくり考えてみようか。

そして、その方法に合う教科書を
採択することになるのは言うまでもない。

最後に........信頼できる教員仲間から、こんな表現でアドバイスをもらった。

細かく一から教えるのではなく、大きな内容のまとまりを設定し、主題学習で四角い部屋を丸く掃く感じ。

バンバン教科書を使って、問いを解決する学習をさせながら。もちろん、解決できなくてもよい。

なるほど、私の考えと一致する。その中でも「四角い部屋を丸く掃く」という表現に感動!

持つべきものは友だね!

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