マヤ夫

高校で主に世界史を教えています。専門はマヤ文明考古学で、遺跡博物館と学校教育との「博学連携」も研究しています。

マヤ夫

高校で主に世界史を教えています。専門はマヤ文明考古学で、遺跡博物館と学校教育との「博学連携」も研究しています。

最近の記事

自律分散型授業

先日、オンラインで「自律分散型授業」と題する講座に参加した。 この語は経済用語らしく、主催者の造語とのことだけれど、意味はしっかり伝わる。 最近教育雑誌などによく出てくる「個別最適化授業」と表現すれば、ピンとくる方もいらっしゃるだろう。 私の勤務校にいる同僚が、「もう一斉授業は限界」と話している。 私もそうだと思う。 でも、現在の教育カリキュラムだと、やはり一つの教室で同じことをやる以外、授業の方法は見つけにくい。 見つけにくいが、できないとは言っていない。 かといって、

    • 「歴史総合」の年間計画(大枠)

      2022年度から高校で始まる「歴史総合」。 その教科書の見本本が、ほぼ私の勤務校に届いた。 それぞれの教科書の細かいコメントは省くが、全体として大きな問題が二つあると思う。 一つ目は、従来の日本史と世界史のパッチワークのようなものが多く、「テーマ」ごとに「融合」しているとは言い難いことだろう。「テーマ」ごとに「融合」させるのが難しいのは十分承知しているけれど、やはり使用する側からすれば、斬新でおもしろい!とはならない気がする。 そしてもう一つの問題は、分量が多くて、従来

      • 教育実習の心構え(視点)

        明日からいよいよ教育実習が始まります。私は年齢も年齢だけに、これまで多分20人くらいの実習生を指導してきました。「指導」というとおこがましい感じで、逆に勉強させてもらうことも多いです。細かい具体的なことはまた後で書くとして、今回は大局的な視点を整理しておこうと思います。 1.書類作成よりも大切なこと教育実習と言えば、たくさんの書類を書くことになります。日誌はもちろん、授業指導案(教案)などです。これは指導教員によって違うでしょうが、私は書類をきちんと書く時間があったら、その

        • アサーション

          先日、あるオンライン講座の哲学カフェでアサーションが取りあげられた。そして、発刊されたばかりのリクルート『Career Guidance』vol.437 でも、進路指導に役立つ手法として紹介されていた。今回は、自分の頭の中を整理する意味でも、アサーションについてまとめておこうと思う。 1.アサーションとはご存知の方も多いと思うが、assertionは「自己主張」という意味に訳される。assertiveは派生語で形容詞で、「正当に主張する」「自分の意見を述べる」「自信を持った

          KP法とウェビングマップ

          来年2022年度から、新たな学習指導要領による授業がスタートする。2019年に公表されたGIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)がコロナ禍で前倒しされたこともあって、生徒一人に一台の端末を持たせ、ICTによる授業デザインが教育現場で進んできている。私の勤務している高校でも、Chromebookを購入してもらい、これまでの一斉授業に個々の能力に応じたICT教育を組み合わせたやり方を模索している。 でも、端末やプロジェク

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          「歴史総合」の教科書を採択する基準

          文部科学省の教科書検定結果が出て、各教科書会社からダイジェスト版が送られてきた。本物を見て採択を決めたいところだが、今のところ送付されてきた資料から判断するしかない。 2022年度から新たに始まる「歴史総合」は、どのような内容や仕様になっているのか、地歴科の教員は興味津々だろう。 実際、先週はオンライン会議が開かれ、いくつかの教科書について意見交換した。 「歴史総合」の目指すものがぼやけ、これまでの「世界史A」と「日本史A」の内容をパッチワークしたものが多い。だが中には

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