15:色眼鏡
小学校5年生。
僕は眼鏡をかけた。
いじめられた。
子供は、その語彙力の少なさに、
共通の標的を見つけて、悪口をいうことで
コミュニケーションを図る。
僕のメガネはしばし標的だった。
悪口が聞こえた。
中学生。
スポーツ用の眼鏡をかけた。
いじめられた。
一個上の先輩に無視され、
ペアでやる種目で一人ぼっち、
怪訝そうな顔で女子がこちらを見ている。
僕を排除したいようだ。
僕の頭の中で、悪口が聞こえる。
高校生
眼鏡を外した。
いじられた。
もう何されても痛くも痒くもなかった。
一人でいたい時もあった。
ただそれ以上にみんなといたかった。
僕は幸せだった。
頭の中で悪口が消えた。
大学生。
頼れる人はいなかった。
孤独を忘れるために僕は
眼鏡をかけた。
頭の中で悪口が聞こえる。