43:啜る花
光る白い壁、青い陽光。
偏光ガラスが色めいて、
今日も僕を照らしてる。
布団が背中にひっついて、
朝を恐れて眠れない。
管の数は日に増えて、
知らぬ薬を掘り込める。
小さな病院の一階に、
病に伏した女あり。
彼女に会いにエレベーター。
胸の高まり沈めつつ、
今日も偶然装って。
漆黒の重い廊下を忍足。
彼女は今日も起きていた。
すり足掠れる、カーテンと、
君の手をまた握っている。
明日は医者の胸借りて、
寸の出頭を迎え撃つ。
君に打ち明け、数十秒、
君は優しく抱きしめた。
一生目なんて合わないけれど、
胸の鼓動は橋をかけ、
別の高まりの輪を解き、
一線上に沈めてく。
ホテイアオイは慎ましく、
夜に息を潜めてた。