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悶太
2019年8月27日 12:32
湯気が頬を濡らすスープを、一口含んだ時だった。 舌に張り巡らされた味覚神経は、その雷鼓をけたたましく鳴り響かせ、大気を切り裂くように脳神経へと伝達させた。 その衝撃は、コーラにメントスを入れた時の様に多大な唾液を分泌させ、口いっぱいに広がった香りは鼻腔を擽り、溜息すら吐かせてしまった。 その衝撃を、俺は一言で済ませた。「なんだこれ……美味すぎる!?」「そうでしょう、そうでしょう」 さ
2019年6月30日 22:19
「インスタントって、あの三分とかで出来る乾麺のやつ?」 少女に問い掛けると「はい」と言った後、「でも、カップ麺ではありません。そこは保証します」 と、続けた。 その保証とやらにどれだけ意味があるのか分かりかねたが、仕方無しにラーメンの塩を選んだ。 少女は「かしこまりました」とだけ言い残し、車内にあるのであろう調理場へとはけていく。 噂では、美少女が対応してくれる穴場として聞いて遥々足を
2019年6月16日 21:19
客足は疎らで、外に無造作に用意されている椅子とテーブルは空席が目立つ。 今、椅子取りゲームを行なったらBGMだけが虚しく響き渡り、何も盛り上がりはしないだろう。 店内……というか、車内は調理器具や食材がそれとなく積んである程度で、明かりも乏しいせいか、よく分からない。 太陽光発電で動く、ちゃちな人形のおもちゃのようにキョロキョロと辺りを見渡していると、不意に耳元を擽られるような呼び掛けがあ
2019年5月17日 07:02
開店は20:00からだったと聞いていた。ここ一体の繁華街は、そのぐらいの時間帯から賑わいを見せるので、なんら不思議は無いが、色気もスペースも無いただの屋台が、何故仲間内でそんなに話題になっているのかとても疑問ではあった。 元来、内向的だった俺は、工場の休憩所で同僚達の盛り上がりに全くついていけず、煙草を咥えたまま聞き耳を立てる事しか出来なかったのだが、「まだ十代の女子」「どえらい美人が二人」