ウラジーミル・ソローキン『ロマン』望月哲男訳、国書刊行会

 プロローグが完全に嘘をついている小説が面白くないわけがないのだが、完全に嘘、といってしまうと語弊がある。象徴的には正しいので。

 小説がどれだけ死んでも、いや、殺されても、私は小説が好きだ。いや、というよりも、小説が実にむごたらしい仕方でぶちのめされているのを見たいのかもしれない。

 『ロマン』は実に見事な三段オチをやっていて、そしてそのオチは徹頭徹尾徹底していて、これは本当にたった一度しか書かれ得ない小説です。まあ死んでるんですが。

 「あなたは私のいのちよ」という台詞が多分100回くらい出て来るのだが、面白すぎるのでことあることに言っていきたい。

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