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帰ってきたシナリオコラム「物書きの生き方」中編

〇アパートの一室(夜)

電話を終えた女性記者・宇加賀井益代(うかがいますよ)が会議アプリ・ZOOMのビデオとマイクをオンにする。

ディスプレイに映る男は物書き・スダ

益代「あれ? なんかフォーマットがいつもと違う気が。アタシのセリフ部分がオレンジ色になってないんだけど?!」
スダ「気がつきましたか、実はここnoteなんです」
益代「え、まさかの垣根越え?」
スダ「こういうのもたまには良いでしょ」
益代「ま、毎回同じ場所でコラムやるのも飽きるわな」
スダ「え、1年4か月ぶりなのに飽きるんですか」
益代「アンタがやろうとしなかったからだろ」
スダ「そうでしたね」

カンタンな自己紹介

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益代「ん? ってことは、noteの読者さんたちに挨拶しないとじゃん。はじめまして、アタシは都内で演劇系の記者をやってる宇加賀井益代といいます。役者さんを取材する傍ら不定期ですが、物書き・スダさんとシナリオや彼の生き方にまつわるコラムをブログで掲載してます
スダ「その名も、宇加賀井益代のあたしの心を埋められるのは原稿用紙のマス目だけ

コラム

益代「恥ずかしいからやめてちょうだい」
スダ「でもこれが正式なタイトルですよ?」
益代「3年前のことだし、もう忘れて」
スダ「略しづらく、なんだか夜のスナックを彷彿とさせるので最近はシンプルにシナリオコラムと呼んでます」
益代「じゃあ、それでいいじゃん」
スダ「ただインパクトは最高なので、最終回まで変えません」
益代「気に入ってるのかい。てかこんなやり取りしてると前置き長くて読む人がこの記事から離脱するんで、アンタも早く自己紹介して」
スダ「はじめまして、物書き・スダと申します。脚本家やってます。オリジナルシナリオにこだわった作品を世に生み出すべく、実力派の役者さんたちや作家チームとともに活動しております
益代「そういえば新しく作家チームとお仕事することになったらしいね」
スダ「ええ。その話は作品化した際に詳しく書きます」
益代「前の作家チームの皆様は元気にしてるかしら?」
スダ「コロナ騒動が落ち着いたら、ご挨拶の計画をしてます」
益代「今のあなたがいるのはその人たちのおかげなのよね」
スダ「はい。心より恩義を感じているので」

コラムが"中編"なのはなぜ?

スダ「では、コラムといきましょう」
益代「待って」
スダ「まだ何か?」
益代「タイトルが"中編"だけど?
スダ「はい。前回の続きですから」
益代「そうじゃなくて。今回noteで初めてアタシたちのコラム読む人には何のことかさっぱりでしょ?! 普通は初見さん、いらっしゃーいじゃない?」
スダ「もちろんそれも考慮の上です。もし、前編が気になるあなたは下のリンクからどうぞ


益代「いちいちそんな回りくどいことしなくていいのに」
スダ「そうでもしないと、僕のホームページに来てくれないでしょ?
益代「おい、やり方がテレビの番宣と何ら変わらんぞ」
スダ「知名度上げるためならどんな手も使わないと。別に変なサイトに誘うわけじゃないし、それくらい問題ないでしょ」
益代「うわ、久しぶりの黒スダ降臨?!」
スダ「チョコボーイのように黒のタンクトップは着ませんが」
益代「アーーーーッスゥー」
スダ「……本題に戻りましょう」
益代「いつもなら乗っかってくるネタだろ!」
スダ「え、男と女が乗っかって寝たの? あー、そりゃすんごいねぇ」
益代「結局やるのかい!」
スダ「え? やる? ヤっちゃうの?」
益代「これ以上はアウト!」
スダ「失礼しました。さて、前編では"物書きの自分を雇うための仕事"についてお話しました。今回は心の内面についてです」
益代「では、宇加賀井益代が伺いますよ!」
スダ「初見の皆さん、これが本編に入る合図です」
益代「いや、説明せんでええわ」

自己肯定感の高低について

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スダ「今回のテーマは自己肯定感です」
益代「なんだか精神的な分野になってきたわね」
スダ「物書きとして生きる前に、まず人として生きることについて語りたくなりました」
益代「そのうち教祖とか始めたりして」
スダ「全く興味ありません」
益代「それならいいけど。自己肯定ねえ、あんまり深く考えたことない」
スダ「大切なのは、自分は存在していて良いんだと思うことです」
益代「ますますスピリチュアルな方面へと向かってるね。近くに美輪さんと江原さんいたりしないよね?」
スダ「自己肯定感が作られるきっかけは幼い頃にあると僕は思います。経験してきた数々の人生イベントごとに成功したか失敗したか。とくに失敗したものは後を引きやすいんです。もちろん失敗しても次こそはと立ち直る人もいるので、失敗時のリアクション次第で高いか低いかがわかります」
益代「自己肯定感が高めなら自分で自分を認めてるから落ち込んでも冷静に反省して、低めならば自己嫌悪で卑屈になって諦めやすくなると」
スダ「そういうことです」
益代「わかる。アタシも小学校のとき、体育の授業で逆上がりの途中で手滑らせて落っこちてからいまだ怖いもの」
スダ「ちなみにそれを克服したいと思いますか?」
益代「いや、社会人になって鉄棒で遊ぶなんてことないからね。今さらできるようになりたいとはさすがに。それが何か関係でも?」
スダ「あくまで個人的な意見ですが、自己肯定感という概念の根本にあるのは克服したいものがあるかどうかだと思うのです。どうしても手にしたい・叶えたいものがあるのに自分にはそれが出来ないと知った時に自己肯定感は低くなるのではないかと」
益代「たとえ出来なくてもこの人生には関係ないやって思えるなら、何ら気にも留めないもんね」
スダ「僕の場合は仕事や恋愛面で苦労や失敗が絶えませんでした。どちらも自己肯定感が低くなってしまうんです。ゆえに迎える結末はいつも同じ。それはそれぞれ最初の失敗体験が影響していることに他なりません」

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益代「え、例えばどんなことがあったの?」
スダ「それはコラムが終わってからで」
益代「よほどの黒歴史だな、こりゃ。でもそれって誰もが通る道でしょ? 自分だけが不幸って思い込むのはあまりに視野が狭すぎる」
スダ「もともと繊細な性格なので、あれこれ考え出すとキリなくて」
益代「うわ、めんどくさいヤツだ」
スダ「これは誰のせいでもありません。そうなってしまった事実をただ受け止めることしかできないんです。そこからわかることは自分とは合わなかったということ、もしそのまま進んでいたらむしろもっと悪い方向に進んでいたかもしれないということです。」
益代「なんだかゾッとするね」
スダ「思い返せば、ダメになったからこそ気づくことや幸運な結果だったことのほうが多いのです」
益代「答えはいつだって遅れてやってくるのよね。もし先にそれがわかってるのならこんなに苦労しないわ」
スダ「もしかしたら失敗によって人はバランスを保てているのかもしれません。それを繰り返しながら価値観が出来上がっていくんだと思います」

人の価値観が形成される瞬間

スダ「では、人の価値観はいつ形成されると思いますか?」
益代「この話の流れからすると、子ども?」
スダ「そうですね」

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スダ「生まれた時はゼロの状態。世間の常識なんて何も知らないんです。つまり今、あなたの生き方や思想・信念などの物差しは周囲の環境によって後天的に形成されてきたということになります」
益代「外側からどういう影響を受けたかってことね!」
スダ「家族、親戚、友達、先輩、後輩、テレビ、ラジオ、映画、舞台、生まれ育った場所、時代背景などです」
益代「ってことはアタシという人間も無意識のうちに形成されてるのか」
スダ「ただしこれは後で変えることが出来ます。おすすめは読書したり、いろんな人に出会ったり、置かれている環境を変えたりすることです」
益代「視野が広くなると考えも変わるもんね。井の中の蛙ではいけないや」
スダ「ええ。ここで最も大事なのは自信を無くさせる、やる気を奪う、運気を下げる、足を引っ張るような人とは一切関わらないことです」
益代「どういうこと?」
スダ「これは実体験ですが、かつて会社の上司から毎日理不尽なことで罵声を浴びせられたことがあります。最初は違うと思っていても、だんだん相手の言ってることが本当なのではないかと思い込むようになるんです」
益代「なんか洗脳みたいで怖い」
スダ「あの時は心身ともに危ないところまで行きました。これは外部からの影響を受けやすい人間の代表的な例で、あなたの周りにどんな人がいるかによって人生が左右されやすいのです。もし身の危険を感じた時は逃げてください。でないと、あなたの人生が終わります」
益代「友達にネガティブな子がいて、引っ張られたことを思い出したわ」
スダ「赤ちゃんを例にしましょう。よほどの毒親でない限り、生まれてからしばらくは何しても褒められるんです。喋れるようになったとか、歩けるようになったとか。ほんの些細なことを周りはとても喜ぶんです」

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益代「たしかに。親戚の子に会う時はいつも褒めてる。かわいいとか、すごいねとか」
スダ「でも成長するにつれて、そんなことは当たり前になってしまうので褒められる機会は徐々に減っていきます」
益代「中学生とかになって、いちいち親が褒めるのもなんか変よね」
スダ「それが一般的です。やがて当たり前に出来ることを何とも思わなくなるのが人間であり、学校や会社という社会に順応していくことになります」
益代「朝起きて、定刻に仕事行って、夜寝る。人としてはちゃんとしたことしてるけど、わーすごいね! とはならんな」
スダ「褒めるときに重要なのは人としての内面、つまり人間の尊厳です。人として悪い行いをしたことで怒られるのは何ら問題ありません。人格そのものを否定され続けることが一番の問題なのです」
益代「アタシの会社にもいるよ、そういう昔ながらの上司。聞こえてくるとこっちもイヤになる」
スダ「人には出来ること出来ないことがあるのに、出来ないことを周りに咎められる。もちろん、すべてが環境のせいではありませんが、僕は環境も要因のひとつであると思えてなりません。ゆえに自己肯定感の低い人は自分に出来ることがあるのに、出来ないことばかりが気になってしまうのです」
益代「でも生まれてくる時は親も国も時代も選べないというのは残酷ね
スダ「そこが最も難しいところです」
益代「アンタもその問題までは解けないか」

自己肯定感を高めるには

益代「じゃあ、自己肯定感が低い人はどうすればいいの?」
スダ「ほとんどが解決方法を見つけようと試みます。代表的なのは啓発本を読むなどでしょう。しかし、ピンと来ないと思います。なぜなら自分の身をもって体験していないからです。本に書かれた他人の文章はあくまで他人の経験でしかなく、追体験しようにも境遇が違うのですから」
益代「頭でイメージしていることと体験して思うことは違うもんね」
スダ「とにかく動いて上手くいく経験をするしかありません。ちなみに僕が仕事面で自信が持てるようになったのは、いろんなところで働いて自分にも出来る仕事があることを肌で知ったからです」

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益代「飲食店に広告会社、講師にショップ店員、職場経験のことならアンタは他人に負けないわね」
スダ「自分にも出来ることがあると肌身で感じると、成功したという事実が頭や体に沁み付いて自信が持てるようになります
益代「自分には出来るけど、周りには出来ない人がいるってことね!」
スダ「はい。それまでは逆に思えてたことが、その逆もあったという事実に気づく。これだけでもだいぶ自己肯定感は持てます」
益代「アンタも伊達に失敗してきたわけじゃないんだね」

向き不向きを知る方法

スダ「かつて主流だった年功序列制度も終息しつつあり、同じところに長く勤めていればどうにかなる時代ではなくなってきております。そこにいながら日々進歩しなければいけなくなったのです」
益代「かつて先輩が言ってたわ。仕事で大事なのは密度だって」
スダ「ちなみに仕事や生き方について前に書いた記事があるんです」


益代「これ、テレビで観た。仕事は"やりたくて自分に出来るもの"、もしくは"やりたくなくても出来てしまうもの"を選んで生きろってやつね」
スダ「はい。向き不向きって言葉がありますよね。人は誰でも出来ることと出来ないことがあることを改めて知ってほしいのです」
益代「やりたくないのに出来てしまうってのはおもしろい表現よね」
スダ「これは物書きとして生きていくことにもつながるのですが、仕事に対しやりたいかやりたくないかは深く考えないでください。気にしてほしいのは、その仕事が自分にできるのかできないのか。そしてそれが食っていけるものか、生活していけるものかです」
益代「アタシは幸いやりたくて自分にできて食える仕事だったわ」
スダ「素敵です。僕も5年近く続けた仕事がありました。幸い人間関係には恵まれたものの、技術的なものは身に付けられませんでした。これは向き不向きの問題であり、自らの力不足によるものです。自分にはできないと察したら素直に身を引くことも大事です」
益代「そんなことあったんだ。あんたも苦労してるね」
スダ「向き不向きを知るコツは"いつも同じところで注意されるか"です」
益代「社会は同じ失敗を一番嫌がるからね」
スダ「もしどんなに注意を払っても同じミスを繰り返すようならば先行きは怪しいので早々に辞めたほうがいいです」
益代「でも年齢的なものがあるでしょう? アンタももう30半ばよね?」
スダ「確かに世間はフラフラするなと言うでしょう。でも、人生は一度きりです。むしろフラフラして自分に何ができるのかを知るほうが大切に思えるのです。人間は決してちゃんとした生き物ではありませんから」

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益代「アンタをまるで息子のように見てる自分がいる。歳がバレるわ」
スダ「フラフラしたらフラフラした分だけ経験が後で必ず活きます。そのためにはまず生きていることが何より大事なのです。もしその人が物書きならば経験してきたつらい出来事を物語のエッセンスにすればいい。社会の問題点はここだ、人間とはこういう生き物だ。そういった深いテーマをたくさんの人たちに伝える貴重なきっかけになると僕は思うのです」
益代「転んでもただは起きない、ってか」
スダ「人は自分で進む道を決めた時に初めて強くなるものだと思います。と同時に、無意識に自信を身に着けて醸し出す生き物なのだと」

おわりに

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スダ「いかがでしたでしょうか?」
益代「いやあ、noteでコラムをするなんて思わなかった」
スダ「こっちも良いですよね」
益代「じゃあ、次回もここにしよう」
スダ「それだけは勘弁してください。ホームページのブログ、コロナ禍で更新止まってたんですから」
益代「世間のせいにするな」
スダ「続く後編では、人が生まれながらに持つ不公平さについて語りたいと思います」
益代「お楽しみにね」


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