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アドラー心理学で読み解く、ドラマのキャラクター設定

はじめに

数年前、「嫌われる勇気」という本が人気になりました。

アドラー心理学をベースにしたもので、人生に疲れた悩み多き青年が哲学者のいる書斎を訪れて論議をしていくという物語形式になっております。

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これまでこの手の書籍はイヤというほど読んできたため、また同じような内容だろうと遠ざけておりました。

そもそも自己啓発系はもはや飽和状態であり、おまけに広く浅く大衆向けに似た文言が書かれてあるものが多いので、ひとりひとりへ向けて根深いレベルでピタリと合致するものはほとんどないと思っていたからです。

ところがいろんな経営者の方々がおすすめしており、解説動画もいくつかアップされていたため試しに読んでみようかと思い、さっそく本屋へ。

哲人(=哲学者)と青年の会話で展開されるので、物書きの自分としては何だか小説を読んでいるような気分。

しばらく読み進めると、驚きの一節を目にします。

トラウマは、存在しない

…え?

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ドラマや映画のキャラクターはほとんどが過去に何かを抱えていて、そのトラウマに苦しめられて葛藤しているからこそ物語になっているはず。

ところが、アドラー心理学ではこれを否定します。

今の自分像は過去の出来事によって形成されたものではなく、その出来事のせいで自分はそういう人間なんだと信じ込んでしまい、もう二度と変わることができないと思い込んでいるだけだ、と。

つまり、自分の過去に起きた辛いことや悲しいことを言い訳にして、これからもそういう自分で居続けるのが居心地がいいからそうしているのだ、と。

あまりに衝撃的でした。

たしかに人は幼い頃に何か嫌なことがあると、それが心のブレーキになって同じようなことに挑戦することを避ける傾向があるからです。

だけど、自分の考え方次第で自分の未来を変えられると知った時は驚きを隠せませんでした。

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読書をしていて気持ちいいのは、自分が予想をしなかった新たな価値観というパンチのラッシュをこれでもかと浴びせられるからでしょう。

と、ここであることに気づきました。

この理論って、ドラマのキャラクターと実は深いところで密接に繋がっているのではないか?と。

ドラマのキャラクターとアドラー心理学

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さて、ここからが本題です。

この「嫌われる勇気」という本の核となる最大のテーマはズバリ……

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