ゲートをくぐると、そこは日本!バンコク日本博2022に潜入しました
「バンコク日本博」は2022年9月2日(金)・3日(土)・4日(日)の3日間、バンコクのサイアムパラゴン5階で開催されました。サイアムパラゴンとは、タイ・バンコク中心部にある、一日かけても全て回りきれないほどの超巨大ショッピングモールです。今回は、バンコク日本博のイベントの熱気と魅力を余すところなくお届けいたします!
サイアムパラゴンの近くには、バンコクの鉄道『BTS(バンコク・スカイトレイン)』のサイアム駅があり、アクセスが良くショッピングモールや飲食店が多いため観光客に人気のエリアです。
日本が大好きな人たちが集い、大熱狂だった日本博
バンコク日本博はタイ最大級の日本をテーマにしたイベントです。「教育」「仕事」「旅行」「日本ブランド、日本製品」「食べ物」「サブカルチャー」のジャンルごと、様々な企業や団体のブースがあります。リアル開催は3年ぶりということで、どのブースもたくさんの人がいらっしゃいました。
こちらが「教育」「仕事」に関するエリアです。企業の方の話に熱心に耳を傾けている方が多く、全体的に日本の就職合同説明会のような雰囲気でした。
各企業や県が「日本で働きませんか?」とポスターを掲げていました。私が印象的だったのは宮城県仙台市のブースです。
仙台市のアピールポイントがハッキリと簡潔に書かれています。海外の方向けのポスターですが、自分が海外で働くことを想像すると、このくらいハッキリとアピールポイントが書かれている方が安心します。
その隣が「旅行」「日本ブランド」「食べ物」「サブカルチャー」に関するエリアです。このエリアは広く、特に飲食店や小売店、アニメに関するブースが賑わっていました。
今回、「京都府」として共同出展されていた方々の中から、株式会社西川紙業の西川佐織さん、株式会社木村桜士堂の木村安之さんにお話を伺いました。
「日本の京都府」といえば海外の方からの認知度も高く、「京都=日本」というイメージがあるため、そもそも関心を持つ方が多いそうです。京都府として共同出展を募り参加したのは今回が初めてで、参加企業の皆様はそれぞれの事情を抱えつつも、海外で商流を持ちたいという思いで参加されていました。
京都市で御朱印帳製造を手がける 株式会社西川紙業
西川 佐織さん
西川紙業さんは、神社やお寺に参拝した証を刻む御朱印帳や、色紙を中心に作られています。製造一本でやってきたという西川さんは、コロナ禍で受けた打撃をこう語ります。「コロナで旅行に行く人が減り、同時に御朱印帳の需要も減少し、大きな影響を受けました。苦しかったですが、なんとかしないといけないと思い新たな取り組みを考えました。」
西川さんが挑戦したのは、御朱印帳づくり体験という新たな取り組みです。
オリジナルの御朱印帳を作ってみようという体験講座は人気で、日本でもたびたび開催しています。気になる方は是非チェックしてみてください。
御朱印帳は長い紙を折りたたんでいるように見えますが、実は短い和紙を貼り合わせて作られています。和紙には表と裏があり、裏同士を貼り合わせることで裏写りしないのだそうです。
御朱印帳について説明し、通訳しながら作り方をレクチャーしています。タイの方々に御朱印を集める文化はないため、オリジナルノートのような使い方をする方が多いようです。
西川さんには、こういった体験をすることができる自社の工房を京都に構える計画があるそうです。「御朱印帳づくりを体験できる工房を来年以降オープンさせたいと思っています。京都には何度も来たことがあるけど、もっと深い楽しみ方をしてみたいという方に来ていただけるような場所にしたいです。」
日本だけではなく、海外の方が京都観光する中で「体験」という価値を提供したいといいます。その一歩としてバンコク日本博に参加したそうです。
創業130年の京みやげ店 株式会社木村桜士堂
木村 安之さん
京都みやげの和雑貨や、伝統的な京人形を扱う木村桜士堂(きむらおうしどう)さんは、20年近く前海外からの観光客需要が好調になりはじめた頃から、観光客頼みの営業になってはいけないと危機感を抱いていたといいます。「海外からのお客様が増えた時に、“今はいいけど、いつかはこの波がなくなるぞ”と思いました。当時から、そのいつかに備えて対策しなければと思い、香港・上海・台湾などに輸出を始めました。」
木村さんは、2005年頃からアメリカ・ニューヨークやイタリア・トスカーナ州の展示会に出展したり、京都府が上海に開設した『京都府上海ビジネスサポートセンター』を活用して上海に進出したりと、積極的に海外展開してきました。
コロナ禍によって海外展開は一時阻まれたものの、今後は東南アジアへの展開を考えているそうです。「タイという国とはまだ距離があると感じています。これから本格的に取り組んでいきたいと思います。
長年、海外展開に取り組んできたことで、海外の方に人気があるのはどんな商品かというノウハウやデータが蓄積されています。データに基づいた提案ができるのは弊社の強みだと思います。」
逆に、タイの雑貨を日本に展開することも考えているそうです。「タイの民族的な雑貨やかわいい人形が好きな方は日本にも多いと思うので、日本の方に手に取ってもらえるような仕組みも作りたいと思います。」
ライブパフォーマンスに熱狂するタイの方々
会場内を一周してみると、日本のアニメやカルチャーのブースが一番賑やかだと感じました。コスプレをして楽しんでいる方も多く、さながら日本のコミケのような雰囲気もありました。
会場には大小2つのステージがあり、連日アーティストによるライブが繰り広げられていました。
ステージイベントの目玉は、株式会社LDH JAPANに所属する『BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE』、『PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE』の皆さんによるパフォーマンスです。
開演1時間ほど前から続々と人が集まり、タイのファンの方々は、待ってましたと言わんばかりの大盛り上がりでした。アーティストの皆さんも、ほとんど日本語を使うことなく、英語とタイ語で挨拶しておられて、より一体感を感じました。
あとがき
大盛況の「バンコク日本博2022」レポでした。タイは親日家が多いと聞いたことはありますが、イベントの規模と盛況な様子には驚きました。日本に住んでいても、こんなに『日本』を感じる機会はあまりありません。ライブやフードを楽しんだあと、日本での仕事や留学のブースに目を向けている方がいらっしゃったのが印象的でした。(ものづくり新聞 中野涼奈)