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【エッセイ】大人VS子供 feat.マチコちゃん


~皆様、お祭りは好きですか?~






私は子供の頃から
地元で有名な祭りがあって、それによく参加していました。


祭りは本来、神様を祀るという言葉から
生まれたものですから
祭りに参加すると何か不思議な魅力に囚われて、ついつい大人になっても
子供みたいに、はしゃいでしまいます。


ちなみに、日本最古の祭りは
飛鳥時代に生まれたそうです。


日本人は、大昔からお祭り好きなのでしょう。


そんなお祭りにまつわる体験談がありますので、今回もまた皆様にお話ししてもよろしいでしょうか?






私が小学生の頃です。


前述したように私の地域では
お祭りが盛んです。


私も、父も、祖父も、曾祖父も
みんな代々子供の頃から祭りに参加していました。


どのように参加するかというと
神社に奉られている神様を
お神輿に乗せて担ぎ、それぞれの地域に回らなければいけません。


そのため、大人になれば
大きなお神輿を担ぎ
子供の頃は小さなお神輿を担いで
町中を朝から夜まで歩き回ります。



1日中お神輿を担いで歩き回れないので
途中途中、休憩ポイントがあります。


その時、近所のオバサンが毎回ラムネを配ってくれて、これがまた格別に美味しいのです。


普段あまり炭酸が飲めない私でも
この時のラムネは
全身の細胞が甦るように美味しく感じます。


これもまたお祭りによる魅惑の力なのでしょう。





そして、休憩ポイントが大きな神社の時はは屋台が並んで、そこでみんなで遊びまくります。


当時、私はスピードくじ
プレイステーション2が
景品に並べられており
それが欲しくて必死に何度も挑戦していました。


でも、全く当たらないので
従兄弟のシュウくんと
くじ引き屋のオジサンにインチキだと言い争っていました。


いつもお利口さんな私達が言い争うなんて
これもまたお祭りによる魅惑の力の1つなのでしょう。






あれやこれやと
町中をお神輿を担いで回った後
最後にお神輿を元の神社に入れて
神様をお帰しします。



普段は、
お神輿を神社にすんなりと入れて
地区長さんが挨拶をして終わりになるのですが、私が小学5年生の年だけは違いました。





大人神輿を神社に入れて
次に私達が担ぐ子供神輿を神社に入れようとした時です。






突然、私の2つ年下のマチコちゃん

「ワッショイ♪ワッショイ♪」


と私達の担ぐお神輿の隣で軽快に踊りだしたのです。





マチコちゃんは、色白でおとなしく
基本的には無表情で
感情を表に出すような子ではありません。




そんなおしとやかなマチコちゃんが
突然、手をフリフリさせて
がに股で「ワッショイ♪ワッショイ♪」
軽快に踊りだしたのです。




もう夜ですので
子供は寝る時間になります。



みんな1日中歩き回っていますので
疲労がどっと溜まっています。


お祭りのピークを迎える頃に
そのテンションなら、楽しいのですが
もうピークを終えみんな頭の中は「家に帰って寝たい」しかありません。




マチコちゃん、ごめん。



悪いけど、みんなその
「ワッショイ♪ワッショイ♪」には
のれないよ。



でもマチコちゃんは
私達に何も訴えることなく黙々と
ただひたすら軽快な躍りをし続けます。




だんだん私達も
とにかく踊り続けるマチコちゃんを見ていると、心が動かされていきました。



そうか、マチコちゃんは
年に1度しかないお祭りを終わらせたくないんだ!


ここで、お神輿を神社に入れてしまえば
次の楽しいお祭りはまた来年です!


疲れなんて関係ありません!
お祭りはここからが本番です!


私達、子供組は
「ワッショイ♪ワッショイ♪」
マチコちゃんと一緒に掛け声をあげて神輿を神社に入れるのを止め
神輿を担いだまま、神社の周りをテンションアゲアゲで何周も全力疾走しました。


マチコちゃんも
嬉しそうに「ワッショイ♪ワッショイ♪」と、手のひらをぶらんぶらんと揺らして
がに股のまま、太ももを片足ずつ大きく上げて踊りながら私達の神輿についてきます。




すると、帰ってさっさと飲み会をしたい
大人達が「もう終わりにしなさい」
私達の担ぐ神輿を押さえつけて神社に無理矢理入れてこようとしてきました。


私達は、それに対抗して
神輿を神社に入れさせないように外に引っ張ります。


まるで
早く帰って飲み会を開きたい大人達
VS
まだまだ祭りを続けたい子供達

の綱引きのようになりました。




大人達は
「早く帰って寝なさい!
もう今年のお祭りは終わりだ!」

必死に神社にお神輿を入れようとします。




マチコちゃんはその間
「ワッショイ♪ワッショイ♪」
踊り続けます。




子供達は
「朝まで祭りを続けるんだ!
大人達は邪魔をするな!」

一生懸命に神社にお神輿を入れないようにします。




マチコちゃんはその間
「ワッショイ♪ワッショイ♪」
踊り続けます。








「ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪」





「ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪」










「ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッショイ♪ワッシ…





ワ!






ワ!






ワ!








ワマママママーーーーーーーー!!!」








マチコちゃんのものすごい叫び声が境内に響き渡りました。


気づけばさっきまで軽快に踊っていた
マチコちゃんが闇夜に姿を消していました。



私達は争いをやめて
マチコちゃんの捜索に取り掛かります。



田舎の神社になりますので
街灯が点いていない場所は真っ暗です。


マチコちゃんは、どこへ消えてしまったのでしょう?


大人や子ども達は
「ワママママー!っていう声は
あっちで聞こえたぞ!」
「いいや、ワママママー!っていう声はこっちの方で聞こえたよ!」
と大真面目に話し合いながら探しました。




すると、「おい!見つけたぞ!」
大人が言いました。


みんなで駆けつけると
マチコちゃんは泥だらけで大泣きしていました。


どうやら、テンション上がって踊り続けていくうちに目が回って
ちょっとした小さな土手に落ちてしまったようです。


大怪我することはなかったのは
きっと神様が守ってくれたからでしょう。










そんな小さな田舎で恐ろしい獣が出た事件がこちらになりますので、もし良ければご覧ください↓↓






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