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【エッセイ】何をかけ違えたのか?


~皆様この夏、海に行きますか?もしくは行きましたか?~



私は今年、子どもができたばかりなので
海に行くことはありませんが
地元が海の近くなのでしょっちゅう行ってました。


海は色んな遊びができたり
素敵な恋が始まったりと素敵なスポットですよね。


そんな海にまつわるエピソードが
ありますので、また皆様聞いていただけないでしょうか?




私が大学生の頃です。


私にはシュウくんという従兄弟がいます。

そのシュウくんと夏休みは海にばかり行ってました。


以前過去のエッセイで紹介したように
シュウくんは顔が広いので
海の家の店長と知り合いで
かき氷をオマケしてもらったり

どこで知り合ったのかわかりませんが
どこかの大学の先生と付き合いがあるらしく夜中にウミガメの卵を見守ったりさせてもらいました。
(孵化する瞬間は私は見れませんでした…)


そんなこんなで大学生の頃の私達は海であらゆるイベントをして日焼けで真っ黒でした。


ある日、シュウくんと
何をすることもなく、砂浜
体育座りしながらボーッと海で遊ぶ方達を
眺めている
と、シュウくんが突然ボソッと呟きました。




「俺と彼は何が違うんだ…?」





最初、何を言っているのかわかりませんでした。

シュウくんの見つめる先を探ると
なんとシュウくんが今履いてる海パン
全く同じ海パンを履く同じぐらいの年代の男性がいたのです。


しかも、その男の人は
同じ大学のサークルの仲間なのでしょうか?
キレイでイケイケな女の人達と
ビーチボールでキャッキャウフフと楽しんでいました。


まるでドラマのワンシーンかのように
眩しいほどに青春を謳歌しています。



一方、私達ときましたら
彼女もいない悲壮感漂う男2人
並んで座ってるだけです。

思い返せば、
夏休みはずっとシュウくんと2人でいました。


対照的な光景に私は
せっかくの夏休みに1つも燃えるような恋をしていなかったなと寂しくなりました。


でも、私よりも
シュウくんのほうが悲しい目で
彼らを見つめていました。


そして、歯を食いしばり
嫉妬に燃えていました。


きっと同じ海パンを履いていることで
勝手にライバルだと認識しているのでしょう。



「なぁ?俺と彼は何が違うんだ?


全く同じ場所にいて
同じ人間で同じ性別
歳も同じくらい。


何よりも、身に付けているものも全く同じ。水色と白色のシマシマパンツ。


いったい何が違うんだ?

教えてくれ。





頼む。




教えてくれ!!」




シュウくんは顔をどんどん近づけてきて、すごい勢いで質問してきました。


私は何も言えませんでした。



しばらく沈黙が続きます。



シュウくんはその間もずっと青春を輝き散らす男女を嫉妬の目で見つめ続けました。



私はとりあえず別の話題をふりました。




「…ちなみにその海パンどこで買ったの?」





「しまむら」



低価格で有名なしまむらです。
田舎ではみんな子どもの頃からお世話になります。


私も、この時履いていたのは
しまむらで買わせていただいた海パンです。


私は「安価な海パンでモテないのは仕方ないよ」と言おうとしました。

でも、同じ安価な海パンを履いて
キャッキャウフフと私達の憧れを実現している男性が目の前にいるので言うのをやめました。







「そんなこと気にしないでさ!
シュウくん、ボディボードで遊ぼうよ!」


私は、またも話題を変えて
海で遊ぶことを提案しました。




シュウくんは「彼との違いをもう少し考えたい…」と断りました。



「どれだけ考えてもわからないものはわからないよ」と言おうとしましたが、
シュウくんは砂浜に
謎の計算式を書き、あーでもないこーでもないと始めたので、ほっておくことにしました。



私は仕方なく1人でボディボードで
波に乗り遊んでいました。


この日はいつもより波が高くて
ボディボードを楽しめました。




…。



…ん?

あまりにもいつもより波が高くないか…?





私は、あるピンチに気づきました。





砂浜に置いていた私達の荷物に
波が届きそうになっているのです。



あともう少しで荷物が濡れてしまいます。


荷物の近くに座っている
シュウくんは自分の体とモテモテ男性の体を交互に見るのに必死で波が近づいていることに全く気づいておりません。


そして、この日1番のビックウェーブが来ます。



私は急いでシュウくんに
「ヤバい!荷物が濡れちゃうから何とかして!」と呼び掛けました。




荷物に向かって
くるぶし程度の高さの波が迫っていきます。


シュウくんは突然の出来事に明らかにパニックを起こしていました。


パニックを起こしすぎて
手足をじたばたさせて漫画のような動きをしています。

 

「シュウくん!!!」


私はもう一度強く呼び掛けます。








シュウくんは、何か覚悟を決めたのか
目つきをキッと鋭くし
荷物の前に寝そべり
壁になることを選びました。






一般的な常識を兼ね備えている読者の皆様ならわかると思いますが、波が近づいている時に人間の体で壁を作ったとしても全くの無意味です。



そのまま今日1番のビックウェーブは
シュウくんの体を飲み込み
股下や脇などのスキマから水が流れだし
私達の荷物はビショビショになりました。










ふと先ほどの男性を見ると…




仲間の荷物を、ひょいっと持ち上げていて
事なきを得ていました。








シュウくんと彼の違いは、こういう所なのかもしれません。




そんなシュウくんと原付旅をした時のエピソードもありますので、どうぞお時間ありましたらお読みください↓↓








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