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江戸時代にタイムスリップするための準備が終わらない

「江戸時代にタイムスリップするとしたら、何を持っていきますか?」

大学生の頃、とある会社の就職試験で上のような課題が出た。

僕は悩んだ。

なんだこの課題は。と

「江戸時代にタイムスリップする」という課題を大学の就職セミナーでは全く対策していなかったし、今のところ、江戸時代にタイムスリップする予定も無かったからだ。

しかし、時間は無い。
早く答えなければならない。

確か、その時は「3個まで江戸時代に持っていっていい」という条件だったので(なぜ3個なのか?いまだに謎である)、「薬」やら「自転車」やらを答えた覚えがある。

江戸時代よりも医療が進んだ現代の薬を持っていくと便利だし、移動手段として燃料を使わない自転車は最強だと思ったからである。

しかし、いま考えると「薬」を持っていってたところで、いつかは底を尽きて無くなってしまうし、

自転車だって江戸時代のような舗装されていない道を走ろうもんなら、すぐにパンクするわ、替えのタイヤはどこにもないわで何の役にも立たない。

そこで今更だが、
「持っていくべき物はもっと別のものではないだろうか」と数年ぶりに考えているわけである。

これを読んでいる皆さんも一緒に考えましょう。(読んでいる人もそこまで暇じゃない)

とまあ部屋でごろごろしながら、江戸時代に思いを馳せていると、

そもそも何か「物」を持っていくということは、荷物になって大変だし、常に危険が隣り合わせの江戸時代では持っていったとしても失くしてしまう可能性大だということに気付く。

そうだ。

「知識」ならば、常に頭に入れておくことが出来るし、誰かに盗まれたり、失くしたりする事もない。

江戸時代に行く前に様々な勉強をして医療や自転車などに関する知識を頭の中に入れて持っていくことが出来る。

しかしながら、自分一人の頭に入る知識には限界があるし、

たった今から、様々な分野のたくさんの知識をうんと勉強しようと思うと、時間がかかり過ぎて、江戸時代に行く前に死んでしまう可能性がある。

なるべく若く、身体も元気なうちに行った方がいいので、他の何かを持って行ったほうがいい。

それならば「人」を連れて行くのはどうか。

例えば、自分とは別の人間を連れて行けば、何か作業するのも2倍の速さで出来て効率もいいし、何かを探すのも二手に分かれることができる。

例え片方が病気になっても片方が看病したり出来るし、何より同じ状況の話し相手がいると心強い。

2人いれば考える脳も2つあるから単純に知識量も増える。

さらにそれが医師や歴史学者であればなお良いのではないかと気づく。

もし医師なら医療の知識もあって、もし病気になっても何とかなりそうな気がする。

もし歴史学者なら歴史の知識を利用して現代では明らかになっていない新たな歴史の真実を解明してくれるかもしれない。

そうして現代に戻れば、知られざる歴史を発見したものとして、名声を手に入れることが出来るのではないだろうか。

そうと決まれば医師か歴史学者を連れて行こう!

いや待てよ。
一つ問題がある。

「もしも、その連れていった人がとんでもなく自分と合わない人だったらどうするべきか」という問題だ。

それぞれ人間は性格が違うから「合う・合わない」という相性があるのはしょうがない。

ただでさえ力を合わせて生き抜かなければならない江戸時代で、もし性格の合わない人と生きていかなければならないとしたら、めちゃめちゃぴえんである。
めちゃめちゃぱおんとも言えるだろう。

そうなってくると昔からの知り合いで素性の知れた、気の合う人を連れていくべきだ。

気の合う人であれば、2人っきりで江戸時代にいても、ストレスなく過ごせるだろうし、なんとなく生き抜いていけそうだ。

よし!江戸時代には「気の合う知り合いを連れて行く」ということで決定だ!

いや待てよ。

「気の合う知り合い」=「自分にとって大切な人」を危険な江戸時代に連れて行くのは良くないのではないか。

さすがに自分のわがままで「江戸時代」に付き合わせるわけにはいかない。

生きていてもそうそう出会うことの出来ない「気の合う人」という存在は人生を豊かにしてくれる恩人だ。

「もしも」のことがあった場合、江戸時代に誘ったことを悔やんでも悔やみきれないだろう。

となると、人間を連れて行くのは難しい。

じゃあ何を持っていけばいいのか。

僕はごろごろしながら、お笑い芸人の千原兄弟のトークライブ「チハラトーク」を見て、
江戸時代と千原兄弟に思いを馳せる。

今日もガサツな兄である「千原せいじ」のコミュニケーション能力についてのエピソードを弟の「千原ジュニア」が饒舌に話している。

話の内容としては、兄の千原せいじが居酒屋で別のテーブルにいる他人の話にズカズカと入っていき、初対面の人ともすぐに仲良くなるという話だ。

すぐに人と仲良くなる兄のせいじは、世界各国に知り合いがいて、いろんな人があらゆる場面で助けてくれたり、いろんな人が自分の知らない知識を教えてくれるらしい。

そんな男に俺もなりたい。

…ん?

…コミュニケーション能力。

「コミュニケーション能力」を江戸時代に持っていくとどうだろう。

コミュニケーション能力があれば、江戸時代の人ともすぐに仲良くなることが出来るため、現代で勉強した知識よりも、江戸時代でしか知り得ない知識や史実、江戸時代で生き抜く知恵を教えてもらえるはずだ。

コミュニケーション能力があれば、気の合う知り合いを連れて行かなくても、江戸時代で気の合う知り合いを作ればいい。

そして、何より「コミュニケーション能力」は誰かに盗まれることも、失くすこともない。

江戸時代でも、現代でも「コミュニケーション能力」さえあればなんとかなる。

決まりだ。
「江戸時代にタイムスリップするとしたら、何を持っていくか?」という問いに対する僕の答えは「コミュニケーション能力」だ。

しかし困ったことに僕は江戸時代に持っていくための「コミュニケーション能力」とやらを充分に持ち合わせていない。

ということで、

江戸時代にタイムスリップするための準備はまだ終わりそうにない。

おわり

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