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グッバイ、夏

三連休の最終日の夕方は、夏のサンダルの手入れをして終えた。

ここ数年夏はもっぱらマルニのフスベットとセリーヌのベロアサンダルで過ごしている。

こう書くといかにも立派なシューズコレクションのように聞こえるが、どちらもメルカリで状態のいいものを数千円〜1万円代でおとした。ともにブラック。

フラットサンダルのフスベットはその昔、マルニの販売員から聞いたところによると、ソール面がタイヤの素材でできており、そこにジュート(麻縄)が縫い込まれているので非常に耐久性があって、滑りにくいのが特徴なのだそうだ。ソール以外の部分は牛革でできていて高級感がある。

ボリュームがあるデザインなので、ソックスと合わせれば一年を通して使え、「デザイナーが日本に来た時もこのサンダルを履いて素敵でした」と言っていたことが印象に残っている。

とはいっても10万近くするアイテムだったので、本当に歩きやすいのか、自分の足と合うのか確かめてみよう、と中古品を探したのだった。

デザインが欲しい型とは違ったが、底は同じ作りで、とても歩きやすい。
どの服とも相性がいいし、靴下でもはくが、素足ではいても全然疲れないし、いたまない。

毎年普段使いしているし、元の持ち主もそこそこはいていたはずだが、クリームで手入れすると再びツヤを取り戻して、革の質のよさに驚かされるのだった。

セリーヌのサンダルは新品未使用で、足のサイズが合うものを見つけ、ほぼ即決で購入した。

こちらは接地面はツルツルの牛皮、インソールは柔らかい羊皮でできていて、セリーヌらしい繊細さと品がある。

5センチのチャンキーヒールで、フスベットより使用頻度は劣るが、はいていくと待ち合わせた人から「遠くからでもすごくきれいなサンダルをはいているのがわかった」と何度か言われたことがある。ちょっとしたシンデレラ気分だ。

サンダルをはく期間は意外と短く「今年は新しいものが一つほしいな」と思っているうちに、季節が終わってしまう。そんなことを幾シーズンか繰り返している。

夏のスタメンはこれらサンダル2種類に加え、白いラコステのテニスシューズで、その日の服にあったものをさっと選び、急いで家を飛び出していく。
今年の夏もそんな風にしてあっという間に過ぎ去ってしまったな、なんて思いながら靴を磨いた。

年々買い物やファッションに費やす時間が少なくなり、電車に乗ってから「あ、あの夏用のアクセサリーつけてくればよかった」などと思うことも少なくない。

かといって自分に余裕がないのかというと、そういう訳でもない。別のことに時間を使って、そちらに夢中なのだ。
周りの状況に翻弄されて身も心もボロボロ、というわけでもないし、忙しいというのは悪いことではないのかもと考えたりした。

来年の夏には今の状況が軌道にのって、また身の回りのことを楽しむタームがくればいいな、そのために頑張っているともいえる。

まあ、今年の夏もよくできましたということで、グッバイ、夏。


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