【深夜の映画感想 : 先生、私の隣に座っていただけませんか?】裏切られて裏切られて裏切られる映画
これは23歳社会人が、仕事の息抜きに始めたもの。
おそらく眠れない夜に軽い気持ちで覗くのがぴったり。
作品概要
題名 :『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
制作年:2021年
監督 :堀江貴大
とある映画ヲタクの悩み
このお話の簡単なあらすじをまとめてみると、
漫画家夫婦のお話で、その妻が新しい作品の題材に「不倫」を選んだことから物語が始まる。
ある日、旦那が新作のネームを見ると、実際の出来事とリンクしてた。そこには彼女には知られてないはずの、「リアルな不倫」が描かれていた。
黒木華さん演じる妻(以下佐和子さんと称する)はいつもと変わらず落ち着いた様子なのに、彼女は旦那の全てを知っているかのようにストーリーを進めていく。そしてそれと同時に、自分が通っている自動車教習所の先生との、新たな「不倫」も追加されていき旦那は嫉妬に狂っていく。
というものだ。
コレを読んだだけでもわかる斬新な設定かつ、最後まで観るものを裏切ってくるという素敵な作品だった。
映画や小説などの創作物を楽しんでいると、ストーリーの途中で「あ〜これってこの後、こうなってこうなるんでしょ。あるあるパターンだよね」なんて思ってしまうことの繰り返しだ。
昔から語り継がれる綺麗な物語の黄金比やフレームワークに触れ続けている私たちは、その起承転結を無意識に予想しながら次のページを待ってしまう。
だからこそ、今回のように今まで触れたことのないようなストーリーには心を奪われやすい。
「へ〜〜、こうくるのか…で、次はどうなるの?」なんて素直に食いついてしまう。
こりゃ面白い!夜ふかし太郎のお気に入りポイント
①現実と創作の区別がつかなくなる
佐和子さんと「先生」の間にある愛は本物なの…?
佐和子さんにとっての「先生」って…
自分が信じていた「ソレ」が解釈違いだったのか。最後の最後まで断定できないところがとても気に入っている。
普段は期待値調整のために「予告なんて見ずに見ちゃお〜!」なんて思うタイプの私が「存分に予告を楽しんだ上で見てほしい」そう思ったので予告を貼っておく。
また予告だけでなく、その題名までもが「私たちをミスリードに引っ張り込んでいる可能性があること」を忘れてはいけない。
②登場人物の魅力
予告など映画のビジュアルを見ればわかることではあるが、キャストが豪華で演技力の高い俳優さんばかりなであることもこの作品の魅力の1つだ。
特に私はいつもの強い女性が好きな癖がでてしまい、佐和子さんというキャラクターが気に入っている。
淡々と言葉を生み出す様子から、予告を見ただけでもその狂気を感じるかもしれない。そこに付随して旦那に対して不倫の復讐方法がとても恐ろしい。パリッと心を砕きながら、チクチクとその隙間を縫い合わせる。その繰り返しだった。
これはある意味ホラー映画なのかもしれない、そう感じた。平穏なタイミングが訪れたと思いきや、そこで「ワッ」と何かが飛び出してくる。
なんと言ったって、ラストシーン辺りでは旦那と想いを確認をし合い、安心しきった彼に対して…
佐和子さんと新谷先生の「愛」がフィクションだったとしても、そうでなくても。彼にとっては「事実」そのもの。
逃げられないことによる精神的な負担は相当のものとなるだろう。今後を想像するだけでも恐ろしい。
しかしこの物語を始めたのは旦那である俊夫さんだ。
想像できない展開の方が、彼にもきっと良い。
私たちが物語に期待をするように。
おまけ
この映画は不倫旦那への復讐をテーマにしている作品であるため、「重たそうな話なのではないか」と思っている人もいるかもしれない。
しかし金子大地さん演じる新谷先生のメガネ姿が美しくて、程よいラブストーリー感もあるため、ただの怖い映画にならずにバランス良く楽しめた。