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ホットワインと沖田瑞穂『世界の神話』

 冬の朝がチャイなら、冬の夜はホットワイン。スパイスは共通なので買い物に無駄がありません。ただし、なにぶん「なんちゃっていねい」ライフなのでホットワインの柑橘類は省略。オレンジとか、そのために用意するのも高いしな。

 ワインといえばやっぱりギリシャ神話でしょうか。
 昔、なにかで読んだディオニュソスの秘儀がヤバすぎて一度は見てみたい、ただし影からそっと、などと思ったものでした。
 酒の神がいるのは何もギリシャ神話だけじゃないですよね。日本神話にも少彦名命がいるし、インド神話なんてソーマだし、エジプトはビールの神でしたっけ? あれ、違った? みたいないい加減知識しかない私にありがたかったのが、沖田瑞穂さんが岩波ジュニア新書から出された『世界の神話』でした。

 小学生の頃の愛読書には子供向けのギリシャ神話やオシリス神話の絵本、またキリスト生誕のエピソードを描いた絵本なんかがあって、うちの親が何を思ってそういうのを買い与えたのかはさっぱり理由はわからないものの、これらを読んだことでかなり早い時期から神話の世界には魅せられていました。
 だからこそ、当時の私に、この本を読ませて上げたかったなあと思うわけです。
 これ一冊で世界の神話のメジャーどころはだいたい押さえられるし、沖田さんがジュニア向けに優しく、でも勘所は外すことなくしっかり解説されています。
 神話はバリエーション豊かであると同時に、世界中で同じようなモチーフがみられる。神話の多様性と同一性を知っておくのはグローバル化した世界で生き抜くための必須教養になると思うんです。
 みんな違ってみんないい、けど案外みんな同じかも、みたいな。

 神話は人類黎明期の記憶を底に伝えるお話。そして、その後のあらゆる文化を生んだ揺籃でもある。漫画やゲームだけでなんとなく知った気になっている大人が再入門するにも最適な一冊ですよ。


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