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濡れ手に粟のまたとないチャンス?激動するコロナ相場は果たして「買い場」なのか


こんにちは!元銀行員で金融ブロガーの本郷マサシです。

コロナ感染拡大を受け、皆さま不安のなか各々自粛生活を送られていますよね。ウチの遊び盛りのお嬢ちゃんたちも少々ストレスが溜まり始めている模様で…早い終息を願うばかり。

そんなコロナ感染の影響は、「お金の世界」にも大きく影響を及ぼしています。日経平均株価は今年初めのころより20%弱下落しました。今後に関しては「買い時」や「まだ下がる」など、見方が大きく分かれています。

果たして今は株買いの絶好のチャンスなのか…今回の記事では、今までの相場動向や市場のプレーヤーたち(ヘッジファンドと中央銀行)の動き、さらには経済動向を交えつつ、今後の株価がどうなるかを解説します。

◆NYそして東京…2020年の株式市場はどう動いてきたかのか◆
中国がコロナ感染で武漢を封鎖したのが1月23日、ニューヨークダウは直近高値(1月17日)の29,373ドルから月末には28,169ドルまで下落しました。

ただし2月に入ると今度は上昇に転じ、12日には29,568ドルと史上最高値を更新します。日本市場も、このころは平穏を保っていました。

マーケットではコロナみたいな不測の危機を「ブラックスワン (黒い白鳥)」と呼びますが、2月この頃までは、多くの市場関係者が「今度のブラックスワンは大したことがない」と高をくくりました。

変調をきたし始めたのが2月最終週、「灰色のサイ」が暴れ始めます。

NYダウはわずか1週間で3,500ドルも落ち込み、下落率は1割を超えました。3月に入っても下落は止まらず、サーキットブレーカー(株価が前日比7%下落すると取引を15分停止する制度)を引き起こしながら23日には18,213ドルを記録します。バブルの金融緩和をおし進めてきたトランプ政権発足前の水準に戻ったわけです。

この急落に拍車をかけたのが、短期筋とよばれるヘッジファンドです。最大手のブリッジ・ウォーター・アソシエイツをはじめ、多くの短期筋がショートポジションを仕掛けたとされています。

一方で東京市場も、24,000円を超えていた日経平均が3連休前の19日には16,552円まで下落します。ところが週明け、日銀が動いて株価は突然持ち直しました。短期筋も慌てて買い戻しに走ったこともあり、月末には19,000円近くまで上昇します。

急落を続けたNYダウも、FRB(アメリカの中央銀行)がジャブジャブとお金を注ぎ込み、トランプが矢継ぎ早に経済対策を打ち出したことが効き、月末にかけて上昇に転じました。

日米の株価は、暴落の淵から救われたのです。

◆市場で暗躍するヘッジファンド VS「東京のクジラ」日銀◆
では、ヘッジファンドと日銀は市場のプレーヤーとしていかなる役割を果たしているのでしょうか。

ヘッジファンドは、リスクが高い取引、なかでも「空売り」を得意とする投資家たちです。空売りは証券会社から株を借りて市場で売り、2~3か月後といった期日に代金を清算する取引です。現物取引と違って、清算日までに株価が急落すれば大儲けできるわけです。ヘッジファンドは「空売り」を駆使するがゆえに「売り方」と呼ばれています。

そんなヘッジファンドたちは、リーマンショック・アジア通貨危機・アルゼンチンショックといった経済危機のもと、ときには数100億ドルもの利益を稼いできました。株価変動の一役を買う金融のプロとして、ヘッジファンドの存在は市場を語る上で切っても切れない存在なのです。

一方で、株を買い支えている「買い方」が銀行の中の銀行・日本銀行です。その買う威力は絶大で、ウォール街のヘッジファンドマネージャーたちは「クジラ」と怖れています。

3月の東京市場ではヘッジファンドを含む海外勢の売り越し額が2兆円に達する一方で、日銀は1.5兆円を超える買い越しで対抗したんですね。

日銀のなりふりかまわない買いまくりもあって、3月株価はなんとか暴落の淵から救われた、というわけです。買い方VS売り方のファーストステージは、買い方・日銀に軍配が上がったようです。

◆株は絶好の買い場なのか◆
さて、タイトルに戻りましょう。
4月に入って、NYでも東京でもマーケットは安定した動きを示しています。ボラティリティ指数(恐怖指数:株価が不安定になると上昇する)も一時はパニック状態を示す80まではね上がったのが、4月中旬には40まで下がりました(それでもコロナ前の20以下には遠く及びませんが)。

感染拡大防止を目的とした営業自粛や入国制限で、4-6月の景気はかなり悪化すると予測されますが、株価はすでに織り込み済みとされています。つまり市場は、7月以降のコロナ終息と経済V字回復を見据えているのです。

ひるがえって、今の株価水準はコロナ前より25%近く割安です。この先のV字回復が本当なら、絶好の買い場なのは間違いありません。経済ニュースで「今でしょ」とコメントするアナリストも少なくありません。

でも…本当にコロナは、夏までに収束するのでしょうか?
仮に収束したとして、果たしてV字回復するのでしょうか?
安倍政権が打ち出した100兆円の経済対策は、本当に効くのでしょうか?
消費増税の影響はV字回復の足を引っ張らないでしょうか?

不安材料を挙げれば、キリがありません。あるシミュレーションによると、売り上げ3割減が半年続くと、上場企業の1/4で資金繰りに行き詰まるとされています。だからこそ、あの超優良企業トヨタでさえ、イザというときに備え金融機関に1兆円の融資枠確保を要請しているのです。

もし上場企業の連鎖倒産などという事態を招いたら、下手をすると金融システムが痛みかねません。そうなれば株価は確実に二番底へ突入、かつてリーマンショックの時に経験した日経平均1万円割れの悪夢がよみがえります。証券会社OBのアナリストによる買い推奨を鵜呑みにするのはリスキーすぎます。

確かに、少し仕込む程度に買いを入れるのは悪くなさそうです。だからといって、ここぞとばかりに思いっきり買うタイミングとも思えません。

床に落ちたナイフを拾うのは簡単ですが、「落ちてくるナイフ」を素手でつかむのはリスキーです。では今はどちらなのか、慎重な見極めが必要だとマサシは考えます。


つづく。

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