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01「彼女たちの場合は」江國香織
江國香織の「彼女たちの場合は」。
先日下北沢であった刊行イベント行きたさに、江國香織の新刊を買ってみた。ハードカバー、金の箔押し、ページ数は500近く。
本を入れると、会社帰りのトートバッグがずっしり重くなったのを覚えている。
刊行イベントで初めて、江國香織本人を見た。著者近影で見ていたのと同じウェーブの髪や、時々考えながら話す姿が妙にしっくりきた。
サインをもらえる時間があったので、一番好きな(東京タワー・文庫)本にサインをもらったのだが、ドキドキして何も話せなかった。この本が一番好きです、くらい言えたら良かったかしら。
江國香織は昔から好きだった。文の間から溢れている、柔らかで湿度ある雰囲気と、どこか舌足らずの子供みたいな雰囲気が相反しているような、よくなじんでいるような。。
▲サインをもらった。字が素敵だ
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今回の「彼女たちの場合は」の舞台はアメリカ。ニューヨーク・マンハッタンに住む14歳の女の子と、彼女の家に居候している従姉妹・17歳女の子が旅に出るお話。
家を出て、あてもなく旅をしていくーー彼女たち曰く、これは家でではないのだそうだーー知らない町を歩く彼女たちと一緒に、終始私もそこにいるような気分だった。
それでも想像仕切れない場所は携帯で検索したり、地図を開いたりしたけれど。
ホテルから川の方まで散歩に行ったり、海沿いの街で美味しいスープを飲んだり、凍えそうになりながらホエールウォッチングをしたり。見たことのない景色がたくさん広がっていて、町から町へ移動するのが楽しみで仕方がなかった。時にはカフェで働いて、友達ができたりできなかったりした、気分になったのだ。
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私が一番好きだったのが、マンチェスターでクリスという編み物男(クリスは、本の中で一番好きな人物なので是非読んで見てほしい)と車で「カヴァードブリッジ」にいくところ。
少女たちとクリスは、晩秋のマンチェスター、山景色の中で美しい木製の橋を訪れる。人気のない中交わす3人の会話がなんとも好きだったり。
その景色を想像するとき、季節は秋だと書いてあるのに、どうしても雪景色が浮かび、「カヴァードブリッジ」の屋根は絶対に赤茶色だと思った。
そしてそれは少しだけ、故郷の風景と重なる。
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今、この本のおかげで、貧乏社会人ながら旅行に行きたい気持ちが満タンである。
アメリカでもヨーロッパでも、南米でもアジアでもアフリカでも。
できればあんまり、人の知らないところに。
旅行資金、貯金しようかなあ。
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