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unity1week「ない」振り返り 〜個人開発の強みについて考える〜
『ロイのゲーム』というゲームを作りました。
面白く「ない」ゲームができました。
— MONDY (@hello_mondy) January 5, 2025
ブラウザで無料で遊べます。ぜひお楽しみください。#unity1weekhttps://t.co/dz9nY5CWqQ pic.twitter.com/YE9HGizvPN
とても変なゲームに仕上がりました。
よければ先にプレイしてみたください!
こちらのゲームの制作の振り返りたいと思います。
episode0: チーム開発の沼にハマる
脈絡なくてすみませんが、2024年で起きてたことから書き始めたいと思います。
かれこれ1年くらい友人と一緒にゲームを作っているのですが、これがすごく難航してます。
役割分担は以下です
原案・デザイン:友人A(ゲーム制作初心者)
コーディング:友人B(ゲーム制作初心者)
コーディング→シナリオ・全体総括:自分
元々自分はコーディングのみ携わる予定でした。
しかし開発から半年くらい経ち、不安がよぎります。
「統括する人がいないと、このままゲームとして完成しないかも・・・」
そして急遽自分がディレクション的なポジションに回ることでなんとかまとめてみようと動きました。
↓作ってるのはこんな感じのゲーム
友人とのゲーム制作、のんびり進めています
— MONDY (@hello_mondy) June 6, 2024
今日はインベントリシステムが完成しました!
秋ごろにはなんらかの形にしたい・・・! pic.twitter.com/Rd6ohVyPJB
結局秋になっても形になりませんでした😭
長期化する議論
ゲーム開発が形にならなかった理由としては、シナリオやゲーム性についての議論が長期化してしまったことでした。
開発当初は気付いてなかったのですが、好きなストーリーやゲーム性の趣向が、自分と友人たちとで異なっていたのです。
だれかがアイデアを出したら自分が「うーん」となり、代替となるアイデアを出したら他の誰かが「うーん」となる、の繰り返し・・・
ニュアンスの違いが言語化されず、感覚もずれたまま議論が進むのでさらに迷走。
そして、何も形にならない期間が続いていく・・・
「ゲームを完成させたことがある」という慢心
開発を始める前は、自分がunity1weekで何回かゲームを完成させていたのである程度自信がありました。
ゲーム制作の流れやポイントみたいなのはある程度わかっているので、チーム開発でもなんとかなるだろうと高を括っていたのです。
過去にunity1weekを何回か参加して小さなゲームをつくっていくことで、自分の中でのゲームで作るときのセオリーが暗黙的に出来上がっていました。
自分がゲームを作る時のセオリー:
1. なんとなくの最終的なゲームのイメージ図を頭の中で作る💭
2. 辻褄を合わせるシナリオを構築する✍️
3. 具体的な実装作業をしながらイメージを強固にしていく💪
4. 2と3を繰り返し納得いくまでイメージ図とシナリオを擦り合わせる🔁
5. 完成!🙌
こんな感じの作り方をしているため、しょっちゅう作りながら仕様変更したり、ゲーム性変えたりしてます。
このやり方、チーム開発に向いているわけがない・・・
実際にチーム開発でこの感覚はまったく通用しませんでした。
ゲームのチーム開発においては、自分が全くの初心者であることを認識できていなかったのが一つの原因です。
コミュニケーションの難しさ
そして最近思うのは、自分の感覚を人に伝えるのってすごく難しいです。
アイデアを人に話す時、自分には最初からなんとなくのイメージがあります。
しかし、そのイメージを違う価値観や認識を持っている相手に伝えるためには、工夫が必要です。
そういった工夫を一切せずに、なんとなくこれは違うかな〜みたいな議論をしても、前には進めなかったのです。
結局はコミュニケーションの問題ですね。
自分の思っていることを言語化するのが疎かになってしまったのが、ゲーム開発がうまくいかない原因だったのかもしれません。
スクラップアンドビルド…
— MONDY (@hello_mondy) November 25, 2024
スクラップアンドビルド…
アイデアを出しては取り下げ、新しいアイデアを出しては取り下げの日々が続いていました。
反動が出る
そんな感じでうまく開発が進まない2024年下半期を過ごしてきて、なかなかゲームが形にならない現状を悩んでいました。
そこで、unity1weekの開催の発表。
「このままゲームをアウトプットしていない状態で2024年を終えるのは嫌だ・・・!」
そんな思いで、unity1weekの参加を決めました。
今回の自分の中の制作テーマは「個人開発ならではのゲーム制作」でした。
以下の項目は踏まえた上で作りたいなと思っていました。
自分の趣味趣向100%のゲーム
プレイしやすさやキャッチーさよりも、記憶に残るゲーム体験
一言で言い表せないようなゲーム
チーム開発で溜まっていた欲求が反動として出てしまった感じですね・・・
本題:unity1weekお題発表!
前日談が長くなりましたが、ここからunity1weekの振り返りが始まります。
今回のお題は「なし」
自分の好きなメタ思考が捗りそうなお題でワクワクしました!
最初に考えたのは「ルール説明がない」ゲーム
プレイヤーは何ができるのか、何をすればいいのか、何をしたらクリアになるのかがわからない。
それを紐解くミステリー型ゲームを考えました。
しかし、2日くらい考えても一向に具体的なアイデアが進まず。
「終わりがない」ゲームで考えてみることにしました。
終わりがないゲームに囚われた、ゲームの中の住人「ロイ」。
「ロイ」と協力してゲームのエンディングをみつけよう!という内容です。
この時点で「ロイ」は黒猫のナビゲートキャラにしようというイメージはできていました。
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イラストはいつもお世話になっているエス氏にお願いしました!
いつもありがとう!
まずは画面を作ってみる
アイデアを練る段階でだいぶ日付が経っていたので、とりあえず画面を作ろうと手を動かしていきます。
時間がないので既存の3Dアセットでなんとかならないかと模索していきます。
ゲーム自体はシンプルなアクションゲームにすると決めていました。
まずは3Dでシンプルなジャンピングゲームを作っていきます。
お世話になったのはクオリティの高い3Dアセットや音源を提供しているKenney氏のサイト。
ゲーム制作のチュートリアルでも大変お世話になりました・・・!
3Dアセットを置き、奥に向かってフォグをかけます。
床をランダム生成し、サイバー感を出すために格子状の白い線を入れる。
ポストプロセッシングをいじいじして、こんな感じになりました!
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暗くしたおかげで、素材数少なくても思ったより良い感じだ!
サウンドも作ってみる
ゲームのイメージを膨らませるために、フリーBGMを探していました。
そのうち、そういえば1年前作ったゲーム「高次元瞑想ゲーム『ZEN』」ではBGMも作ってたなーと思い出しました。
作ったと言ってもLogicのループ素材を組み合わせただけです。
しかし、このLogicのループ素材がまた味のあるものが多くて良い。
また、展開に応じてBGMが変わってくるインタラクティブミュージックをやってみたいなーとずっと思っていました。
今回はいいチャンスなので、BGM自作してやってみたいと思います。
↓出来上がったのがこちら
後半のストリング部分がイチオシポイントです!
さて、このゲームのエンディングを考えるぞ、とメモ帳を立ち上げます。(やっとかい)
面白く「ない」ゲームの誕生
シンプルなジャンピングゲームを作った後、ふと気づきました。
終わりがないゲームを作ってみたら、ゲーム性が「ない」上に面白くも「ない」な・・・🤔
ここで閃きました。
「面白くないゲームを、ロイがAIナビゲーターとなりゲーム性を足していくことで面白くするゲームがいいのでは?」
面白くないゲームを実際に作ることで、ゲームの方向性が見えてきました。
この辺りから、「こんな作り方、絶対チームだとできないよなー」と楽しくなってきました😃
なにが生まれるかわからない楽しみ、これぞ個人開発の楽しみ方・・・!(無謀とも言える)
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シナリオ完成!
こんな感じのシナリオが出来上がりました。
ロイがゲームを面白くするためのアイデアを提供してくれるが、管理者が止めようとしてくる🚫
↓
暴走した管理者を止めるようにロイが提案してくる🐱
↓
ロイが管理者権限を剥奪した結果、ゲームをのっとり「ロイのゲーム」になる😼
↓
ロイにのっとられたゲームを管理者が奪い返そうとする🙎
※このゲームは実は小学生の息子が初めてつくった記念すべきゲームだった👪
↓
プレイヤーは管理者と協力して、「ロイのゲーム」を取り返す🤝
↓
最後、ラスボス:ロイとの熱いバトル⚔️
(ロイタワーの攻略)
↓
ゲームを管理者が取り返す。HAPPY END✌️
ゲームをプレイいただいた方はお察しの通り、後半の展開はボツとなりました。
開発時間がたりない+ロイを倒す方法がしっくりこないためです。
unity1weekは時間が限られているため、一回組んだシナリオをどう省エネできるかの力が鍛えられますね!😭
というわけで、ロイがゲームを乗っ取ったところでゲームが終わった感を演出させることにします。
とにかく勢いでゴリ押しました!!!
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フリーBGM四天王である「Cat life」をお借りして、ゲームの雰囲気変わった感を演出します。BGMって偉大だー
くだらないラストにすることで「オチ」感もつきました。
「AI vs 人間」的な重厚なテーマも好きなんですが、これはこれで短編として良い締め方になったんじゃないかなと思います。
シナリオ実装
Fungus最強!Fungus最強!
テキストシステム・スコアカウント・床と枠生成・枠の移動、全部Fungusで操作してます!
unity1weekで作ったゲームは1年前から5本連続でFungus使ってます。
毎回新しいライブラリ使おうかなーと思いながら、結局慣れてるツールが一番速いんですね・・・
Fungusで大規模ゲームの管理はしたくないなーと思うんですが、unity1weekくらいのコード使い捨て系ゲームであれば問題ないですね。
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※次はunity1week共有会で紹介されてたScenarioFlow使ってみたいなー
公開!
unity1weekの評価期間最終日に滑り込み提出することができました!
過去イチ間に合うかギリギリでしたね・・・
年末年始の仕事大炎上と帰省が重なってカツカツでしたが、なんとか目標達成です。
ゲームの感想コメントも全て見ています!
面白かったというコメントにめっちゃ救われています😭
引きのあるゲームでは全くないので、プレイいただいた皆様に大感謝です!!
アクションちょっと難しかったかもですみません・・・🙇♂️
最近自分のゲームでは、なんらかの特徴的なキャラクターを登場させるようにしています。
キャラクター像を作る時の自分の中で一つルールがあります。
それは、制作者である自分が好きになれるキャラクターにする、ということです。
プレイしていただいた方の記憶の中で、そのキャラクターたちが思い出となってくれるとうれしいなあと思います。
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まとめ
「ロイのゲーム」の制作を振り返りました。
まったく参考になる制作フローではなくてすみません・・・
でも、こういう感じで「面白くなるのか?」と不安な中作り始めたゲームが形になる瞬間は、言葉には出来ない感覚がありますね。
この感覚が楽しくてゲーム制作をしているのかもしれません。
とはいえ、チーム開発はまだまだ諦めていません!
個人開発とは違うということを意識しながら取り組んでいきたいと思います。
こちらのゲームはそれなりに規模がでかくなりそうなので、今年中にはデモレベルでも何かお披露目できたらなと考えております!!
ご期待いただければと思います☺️
ここまでお読みいただきありがとうございました!
2024年も変なゲーム作っていくぞー!