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理想の管理職はいない?管理職にはカラーがあります

前回のブログで、中小企業では管理職に対する教育の必要性がまだ認知されていない。真の管理職になってもらうには相当な教育が必要ではないか?という内容でした。
今回は、そもそも「管理職」とは一体何なのか、ということを考えます。
私の会社員時代の経験を思い起こすと、3人の異なるタイプの管理職が頭に浮かびます。


1人目はグループ会社の社長です。経営の実権は親会社が握っていましたので、社長と言っても、いつも親会社や取引先、プロパー社員、パートアルバイトの間に立ち、次から次と発生する小さな問題を解決することに追われていました。また、オブラートに包んだような独特な表現を多用し、はっきりした物言いをしない人でした。
一方的な意思決定をすることはなく、何事も合議で取り決めていました。部下から見ると考えていることがわかりにくいという面もありましたが、そのスタイルこそが、部下に対する細やかな心遣い、気配りだったのだと思います。


2人目は管理職待遇で中途入社した人です。もともと経営を強く志向している人で、会社を拡大・成長させるべく、従来からの価値観や組織風土に埋もれることなく、斬新な考え方ややり方、突飛なアイディアをストレートに組織に持ち込みました。
また、経験や能力が明らかに不足している社員にも、自分でやってみせながらチャレンジさせる人でした。思うがまま、奔放に組織を主導した結果、たくさんの軋轢も生み出しましたが、その一方で、社員を目覚めさせ、仕事や会社に向き合うスタンスを大きく変えたのも事実です。

3人目は新卒で入社後10年くらい鳴かず飛ばずでしたが、その人の上司の急な退職後、急速に頭角を現して事業部責任者となりました。しくみやルールをしっかり作り、決めた通りに運用し続けていくことで、きちんと収益を確保していました。
数値管理を重要視していましたので、管理部門を任されていた私は、管理資料の精度の維持と納期厳守に追われていた覚えがあります。実績をはっきり突きつけられる毎月の進捗管理会議は、緊張に満ちていました。社内の空気はピリピリしていて居心地がよかったとは言えませんが、業績は着実に維持・向上させていました。


この3人の管理職のタイプを言葉で表すと、1人目は「調整者」、2人目は「変革推進者」、3人目は「管理者」と言えます。そしてそれぞれが、「管理職とは何か?」という問いへの答えであるように思います。

さまざまな関与者が存在する事業活動では、常に各関係者の声に耳を傾けながら、複雑に絡み合う利害を巧みに調整し、よりよい着地点を見つけていかなくてはなりません。また、社会や顧客に価値ある存在と認められ続けていくには、経営を取り巻く環境変化を敏感に察知して、現状に甘んじることなく次に目指すべき方向を示し、メンバーを巻き込み、動機づけて、共に変化・成長し続けなければなりません。
さらに、会社が将来にわたって存続していくためには、堅実に日々の事業運営を継続し、厳しく利益を追求していくことも欠かせません。


私が出会った3人の管理職は、3人のタイプを組み合わせると、あるべき管理職像をほぼ表していると言えるのではないでしょうか。それぞれ、「調整者」「変革推進者」「管理者」としての側面が際立って見えていましたが、実は3人とも、3つの側面をすべて持っていたのではないかと思います。ただそれぞれが持っている管理職像や、管理職としての役割認識が違っていたため、それが言動の違い=タイプの違いとなって表れていたのではないかと思うのです。
皆さまの上司も、3つのタイプのいずれかに当てはまるような気がしませんか?
今回は、私自身の経験の中から「管理職」というものを見てきました。そしてぼんやりとではありますが、その輪郭が見えてきたように思います。

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