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読書: #4b 英文詳説世界史 (WORLD HISTORY for High School) | 山川出版社

*** 読書: #4a の続きです ***


[ 読後に得られた発見 ]

歴史上の出来事というより 歴史を彩った要素になりますが
本書の一番の発見は 何と言っても
Tangut Script / 西夏文字 でした。

*とはいえ 本書での扱いは 下記のように最小限の台詞しかないものでしたが。。。。

Bhuddism became popular, and thus a number of Bhuddist scriptures were translate using the Tangut scripts, which had similar shapes to the Chinese characters. 

p.158

子供の頃 何の関心も無かったことに 歳を経て ばったり再会すると
なぜか新鮮な味わいを感じることは 分野を問わずよくあるのでしょう。

高校時代に世界史の教科書を読み 眺めていたとき 既に遭遇していた筈なのですが 当時は今ほど新鮮に感じなかったであろうこの文字。

本書のp.157に引用されている写真は 恐らくコレだと思われますが
見た後のひと呼吸を経て がっしりと掴まれました:


漢民族への反感が根底にあるようで

漢字に似てはいるが漢字にあらず という違和感。
説明し難いですが 目に飛び込む書体に なぜか強いパワーを感じてしまいます。

Tangut Script で Web検索すると 出るわ出るわ。。。。。

ケレン味たっぷり っていう表現は 文字にも当てはまるのでしょう

物心ついた頃から 漢字かな文化を通じ培われた自分の意識のなかの文字認識がこれらの形状を捉えると
妖しい異郷に入り込んだような 不思議な感覚を覚えます。

漢字でいう 辺と部首などのように 文字の構成要素ごとによく見てみると
止め/跳ね/払い のそれぞれに 鮮やかなキレ感。

画数の多さが生み出す密度からか
例えば ”鳳凰” や ”飛翔” など 賑々しい特徴のある漢字を見ているようです。

古銭にも収まりよし

一方 この感覚は 外国人が漢字やカタカナなどに抱く異国情緒や幻想とは異なり いつもの日常によく似たパラレルワールド/異世界に出会った感覚、
人間と人間モドキ(古いか) を判別するような違和感、なのでしょう。

文字はなまじ身近にあるものだけに ズレているときの居心地の悪さはひとしおなのだと想像されます。

例えば Web検索で出くわす日本語のサイトには
西夏文字=怖い と怯えている人がある一方
西夏文字=かっこいい という 賛辞もあります。
中にはTシャツを販売している業者さんも。。。。

正面に立つ人を異世界に叩き込む

この T シャツの西夏文字は,西夏王朝が遺した文献の文字を忠実に再現してデザインしたものです。
この T シャツは,2007年12月に開催された第10回もじもじカフェ「消えた漢字の仲間たち」の開催を記念して、西夏語・西夏文字研究者の荒川慎太郎さん(東京外国語大学 准教授)に監修をお願いし、書体デザイナーの竹下直幸さんにデザインをして頂いたものです。

https://moji.gr.jp/shop/t_seika.html

読む人の感覚次第で 心地よさの割れる文字 なのでしょうね。



元々 漢字よりアラビア語書体のほうが好きなのですが 西夏文字はアラブの国からはるばるシルクロードを辿った東方の文字なので 自分すなわち漢字圏の住民には より親和性が増すのだろうと思えます。

絵のようにまとまりとして描かれる アラビア語のCalligraphy

西夏文字の美麗な書体に魅入られているのは 学者や研究者のみならず。
一般の方も それぞれのBlogなどで情報発信をしているようです。

驚きや怖れは誰彼問わず 他者に共有したくなるものなのでしょう。

下は Andrew Westという方がPCで使えるように編集した書体。
毛筆の感覚を残しつつもスッキリとまとまっている印象。

筆記体からブロック体に変身


下も同様に スッキリした印象を与えます。

ロゼッタストーン ならぬ ロゼッタテーブル?

ただ、
21世紀の現代に こんな人類の遺産を誰がPCやスマホなんかで使うのだろう? と一瞬感じましたが 言語や文字の研究者には重宝されるでしょうね。研究報告をこれで書き上げられますし。。。

同様に古代エジプト ヒエログリフのフォントとかもあるんだろうな と思って調べると Google Fonts に各種登録されており DownloadすればPC利用可みたいです。
普段使わないだけで WinOS/MS-Officeにもきっと古代文字のフォントは存在するんでしょう。

使いたい反面 メールを書いても 受け取る相手にわかってもらえない弱点あり

同時に 感慨深かったのが
自分が日本で日本語の教育を受けるのに利用されてきた道具、
もっと概念的には 言語の乗り物、漢字が

例えば千年以上も前に用いられたものであっても
21世紀の現代ですら識字できる形態を保持しており

草書のように崩していなければ
古文書の類でも認識は可能 という事実。。。

楷書なら1500年前のものでも見当がついてしまう

この 漢字が持つ普遍性に ”文字通り” 歴史について 実感させられました。


[最後に総括してみると]

「歴史を知る上で貴重な材料は 図説資料の類にあるのかもしれない」
という 従前からの自分の結論が改めて裏付けられることになった、
気がします。。。(気のせい?)

実は 既に 山川出版社の詳説世界史図録(第5版)を購入済みでして
積読書の出待ちスタックの中から 早く読めよっ と本に発破を掛けられているところです。。。。

ですが これはこれで 本を開くと溢れんばかりの写真、図、表で
アドレナリンが爆増してしまい どこに意識を集中していいか分からず
全く読み進められなくなるんですけどね。。。。。

表紙だけでこの高揚感。。。。至福。

それでは  (くどいですが だめ押しで)
西夏文字への敬意を むすびに:

漢字との対照で 古銭の西夏文字を解読したのが この表のようです。
これを眺めれば 中国が画数の少ない簡体字に切り替えたのも 実用面では納得がいきます。

<おまけ>
うーむ そうか、、、。
21世紀ですから ヒエログリフのみならず 様々なフォントがPCで利用できるようになっていました。
民俗学とか文化人類学とかを専攻した人にはそれらの存在は常識なのかもしれませんね。

キリル文字とギリシャ文字は まずまずのおなじみさん ですからねぇ



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