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【書評/感想】「私を殺さないで」を読んだら、苦しくなった

ようやく婚約解消&強制退去もひと段落し、ひさびさの小説。
浜口倫太郎さんの「私を殺さないで」を読みました。

読み進めれば、読み進めるほど、この先の展開が気になって、でも、苦しくて、痛くて、悲しい、やるせない、そんな気持ちにもなる作品です。
目を背けたくなる描写もありますが、ペットを飼おうとしているすべての人に読んでいただきたいです。

人の命と動物の命に違いはあるのか、命の重さを問いかける、そんな作品です。

本のご紹介

著者:浜口倫太郎
タイトル:私を殺さないで
出版:徳間書店
発売日:2019/2/8

本の概要

 自分が起こした会社を追い出された元社長現在無職の宗近が、同窓会の案内を見て、ふと故郷の奈良に帰るところから物語が始まる。

 そこで宗近は、ひさしぶりに親友俊平と再会する。
 親の動物病院を引継ぎ、故郷で獣医として働く、俊平。
 獣医として動物の命を救いながら、身勝手な理由で飼えなくなったペットの面倒を見たり、地域猫の保護活動、ペットに関する啓蒙活動をするほど動物を愛する親友

 そんな俊平のもとには、子どもたちからのペット探しの依頼も来ていた。

 俊平と再会した宗近は、そのペット探しを子どもたちと手伝うことになるのだが、そのペットが惨殺されてしまう。さらに、俊平宛てにペットの惨殺画像が送られ、次のペット惨殺予告までも。そして、殺人まで発生してしまう。

 その真実は、ペット殺しの犯人は、殺人の犯人は、いったい誰なのか、なぜこんな事が起きたのか。
 様々な命が奪われていくその真実を宗近が探っていくサスペンス小説

感想

ペットを惨殺する描写がキツ過ぎる。何度も読むのをストップした。
ペットの虐待も理解できないし、惨殺なんで言語道断。人の所業ではないし、ムカムカしたのも事実。

でも、ペット産業の光と闇について、多くの人に知ってほしい。
だから、多くの人にこの作品を読んでほしい。

公務員の獣医には、人間の医師であれば絶対にしない仕事があることを知っているだろうか?

私は、この作品を読んで初めて知った。

動物愛護センター。保健所。名前は様々あるが、捨てられた動物を一時保護し処分する施設がある。
処分とは、「殺処分」のこと。そう、殺すことだ。

人間の医者ならば、絶対にない。人を救うために医者になった人間が、人を殺す仕事に従事することはない。

だが、獣医は違う。
動物愛護センターで動物を殺すボタンを押すのは、動物を救いたくてその職についた「獣医」だそうだ。

これほど辛いことはない。動物を救うために獣医になったのに、その動物を殺すことが仕事になるなんて、それがどれだけ残酷なことか。

人間の命と動物の命・・・同じ命なのにこんなにも違いがある。ペットたちを殺すなとの意見があるだろうが、コストの観点から現実的ではない。
そういった施設に持ち込まれる動物の数が多すぎるのだ。
だが、人間ならば絶対にない。「大量に捨てられたから殺しましょう」なんて、絶対にない。

きっと、このとき、動物の命は人の命より軽い、と言えるのだろう。

気軽に命を買い、気軽に捨てる人がいる。
それをなくさない限り、この辛く悲しい連鎖を断ち切れないのだと思った。

ペットを手放す人は、自分の手を汚さずに、動物が大好きな人の手でペットを殺させていることに気付いてほしい

また、この作品では、色々な命が消えていく描写がある。「消えていく」というより「奪われる」の表現のほうが正しいかもしれない。

奪われていい命なんて一つもない、と頭では理解している。
だが、読み進める中で、命を奪われてよかったと思う人物もいたことは事実。

ペットを惨殺された人物が「犯人を殺してやりたい」という描写も、すごく共感した。
私自身、猫と暮らしているから、同じ目にあったら、発狂し、取り乱し、同じセリフを吐くと思う。

このとき、私にとって、ペットの命は惨殺した犯人の命より重いのだ。

命の重さなんて、「人間」「動物」といったくくりで測れない。

ペットは、家族なんだ。家族だからこそ、犯人の命より重いんだと思う。

金がない、ペット飼えない家だ、引っ越した、言うこと聞かない・・・そんな理由で家族を捨てられるだろうか?
そんな理由で捨てられるのなら、最初から飼わないという選択をしたほうがいい。

最後に

この作品で、一番好きな描写があります。ペットとは何かを問うシーンです。

 ペットは家族です。しかもただの家族じゃない。人間の場合、無心で人を愛する人は皆無に近い。仲が悪く、喧嘩ばかりしている夫婦や家族はいくらでもいます。
 けれど、ペットは違います。あなたが飼い主である。あなたが家族である。それだけであなたを一心に愛してくれるのです。
 男、女、老人、子供、金持ち、貧乏、外見がいい、よくない、社会的地位がある、ない。そんなこと動物は一切考えません。なんの条件もなしに、あなたに無償の愛を注いでくれるのです
 それは私たちにとって唯一無地の存在とはいえないでしょうか?

私にとっても、ペットは家族です。
この子(猫です)のいない生活なんて考えられない。

正直、捨てた人間のことなんて、同じ人間に思えません。ありえない。
だから、この作品で動物への暴力的というか惨殺の描写とか、ほんと好きじゃない(笑)

自分より弱い人や動物を、力で傷つける意味がわからないし、そんな人の命なんて・・・って思ってます。

でも、この作品を読んで、改めて、自分の手の届く範囲で、動物を大切にしたいと思いました。

正直、この子をきちんと愛せているか、大切にできているか不安になることも多いです。
でも、朝起こしにきてくれたり、寝るときに近寄ってきたり、お風呂入ってると覗きにきてくれるこの子といることが、私はとても幸せ。

今日も明日も、精一杯、この子を愛したいと思います!
(無理やり明るく締めましたねw)


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